姿の関守
すがたのせきもり
画題
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解説
東洋画題綜覧
西鶴の『五人女』の第二、大経師のおさんを画いたもの、京にかくれなき好者の、花見がへりに人目の関を据えて、往き来の女の品定めする艶な場面、『姿の関守』はその巻のはじめの題で、「おさん』は次のやうに写されてゐる。
またゆたかに乗物つらせて、女いまだ十三か四か、髪すき流し先をすこし折もどし、紅の絹たゝみてむすび、前髪若衆のすなるやうにかけさせ、金元結にて結はせ、五分櫛のきよらかなるさし掛、まづはうつくしさ、ひとつ/\いふ迄もなし、白じゆすに墨形の肌着上は玉むし色のしゆすに孔雀の切付見へすくやうに其うへに唐糸の網を掛さてもたくみし小袖に十二色のたゝみ帯、素足に紙緒のはき物うき世笠跡より持せて藤の八房つらなりしをかざし、見ぬ人のためといはぬ斗の風儀今朝から見尽せし美女とも是にけをされて其名ゆかしく尋けるに室町のさる息女今小町と云捨て行、花の色は是にこそあれ、いたづらものとは後に思ひあはせ侍り。 (五人女)
此の場面を画いたものに、島崎柳塢筆『姿の関守』(第四回文展出品)がある。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)