香具売
かぐうり
画題
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解説
画題辞典
江戸元禄時代にありし一種の男色なり。西鶴が「好色一代男」にその風姿をしるす。「十五六なる少人のとの茶小紋の引返し、鹿の繻子の後帯、中脇差、印籠巾着もしほらしく、高崎足袋筒短かにがす雪踏をはき、髪に髱少くなに、髷を大きく高く結ばせて、続きて桐の挟箱の上に小幕十露盤を重ね、見る程美しき風情なり、是なん香具売と申す。」浮世絵に之を豊くもの多し。
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
元禄時代江戸にあつた一種の男色で、容色美しい若衆の香具を鬻ぐを表とした、『嬉遊笑覧』には、西鶴の『一代男』を引いて十五六なる少人かのこ繻子の後ろ帯中脇差印籠巾着のしほらしく高崎足袋筒短に、かず雪駄をはき髪雹ずくなに髷を大きに高く結ばせて続きて桐の挟箱のうへに小帳十露盤を重ね利口さうなる男の行は是なむ香具売と申宿元を聞けば芝神明の前花の露屋の五郎吉おやかた十左衛門とぞ申ける、かれらも品こそかはれ、かけらうと同じ小草取りのはなすぢけたかきをかやうにしたて、屋敷がた一年替り長屋住ひの人をだます物ぞかし。
又、『卜養狂歌集』にも
ある人のもとへ行けるにわかき香具や参り色々の香具出しけるに焼ものに仙人黒方若草といふ、少人の顔よきを愛して………。
とある、浮世絵にはよく画かれる。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)