扇売
おうぎうり
画題
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解説
画題辞典
扇売は江戸時代に於ける一つの行商なり。若衆の手拭を冠り袖無の羽織を着し、風流の装いして言立(いいたて)面白く市中を廻はりて扇の地紙を売りしもの、一に地紙売ともいう。
東京帝室博物舘に寛志の画あり、
版画にも佐野川市松扇売図などいうものあり。
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
徳川時代に行はれた風俗の一つ、若衆姿で袖無の羽織を着、扇の地紙を売歩く、
扇地紙売の事、予若年の頃は、夏に至れば、地紙形の箱を五つ六つも重ね、肩へかづき売り歩行きける、買人ありて直段極れば、すぐに其の坐にて折り立て売りしなり、又持帰り折立て、翌日持ち来たるも有り、近歳は地紙売一切来たらず、皆人京都下りの折扇を持つことになれり、近頃は扇に伊達を飾る人は更に見えず、右の地紙売は、伊達衣服を着し役者の声色或は浮世物真似などをして買人へ愛嬌をしてうれるが多く有りし也、刻多葉粉売にも此の類有りける。 (燕石十種、塵塚談)
扇売を画いたもの、帝室博物館に寛志の作あり、近作では左の一点がある。
市原寿一筆 『扇売』 第五回帝展出品
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)