鵜
う
画題
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解説
東洋画題綜覧
鵜は鸕鷀科の鳥で、世界的に分布してゐる、日本に産するものは四種あるといはれてゐるが、一般に鵜と呼ばれて、洽く知れ渡つてあるのは海鵜と川鵜で、鵜飼に使はれるのは海鵜である、鸕鷀又は鸕鵜といふ漢名は即ち海鵜の方で、古来此の文字が洽く用ひられてゐるのを見れば、海鵜の方がよく知られてゐるわけで、その細かい説明は略するが、嘴の先の鉤状と顔面の裸出部の特長、羽色など芸術的にも面白く扱はれてみる、扨て此の海鵜と川鵜の差はどうかというと、一体に海鵜の方が大きく、その営巣も、海鵜の方は岩石の上に営巣し、川鵜の方は松のやうな樹上に巣を作る、顔の頬は川鵜の方は白味を帯びてゐるが、海鵜の方は褐色の斑点があり、背の色も川鵜は金属性を帯びた青銅色の光沢があるが、海鵜の方は緑色又は緑青色である。
鵜は鵜飼として画かるゝ場合も多いが、花鳥画として鳥のみ画かるゝことも多い、名作を左に挙げる。
宮本二天筆 細川侯爵家蔵
呂紀筆 内貴富三郎氏蔵
洞雲筆 佐竹侯爵家旧蔵
田中訥言筆 藤田男爵家旧蔵
北斎筆 松本喜八郎氏蔵
荒木十畝筆 『玄明』 第十四回帝展出品
菊池契月筆 六合会展出品
森白甫筆 『海辺所見』 帝展第十二回出品
福田翠光筆 『遊淪追啄』 同 第十三回出品
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)