半蔀
はじとみ
画題
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解説
画題辞典
謡曲にして源氏物の一なり。源氏物語夕顔の巻より採れり。紫野雲林院の僧立花供養の時、夕顔の精現はれ源氏に見染められし往事を物語ることを記せり。虎は京都雲林院、季は九月なり。
その半蔀といへるは、夕顔の巻に夕顔の住居を写せる処に「上ははじとみ四五けん斗あげわたして」とあるに、此の謡曲の結びに「半蔀の内に入りてその儘夢とぞなりにける」とあるとによれるなるべし。
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
謡曲の名、『源氏物語』の夕顔の巻から取つてある、光源氏六条のほとりに忍びありきの途次、五条で夕顔の咲いた宿を見、歌で思ひを通はせながら深い契をこめる、その後紫野雲林院に立花供養のことあり、ここに花の精あらはれて昔の物語をする。『半蔀』の曲名は
「実に物すごき風の音、簀戸の竹垣有りし世の夢の姿を見せ給へ、菩提を深く弔らはん、「山の端の、心も知らで行く月は上の空にて絶えし跡の、又いつか逢ふべき、「山賎の垣ほ荒るとも折々は、「哀をかけよ撫子の、「花の姿をまみえなば「跡訪ふべきか「中々に、「さらばと思ひ夕顔の「草の半蔀おし上げて、立ち出づる御姿、見るに涙のとゞまらず。
といふ一節から出てゐる。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)