藤裏葉
ふじのうらば
画題
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解説
東洋画題綜覧
『源氏物語』五十四帖の一、光源氏四十歳の三月から十二月までの事を記す、源氏の子夕霧の中将、かねて内大臣の姫雲井の雁に思ひをかけてゐた処、折柄卯月のある日、内大臣の庭の藤の花の盛りを、大臣中将など招き宴を張る、これから夕霧は雲井の雁を娶つて中納言に進み、明石の姫入内して女御となる、巻の名は左の一節から来てゐる。
御ときよくさうどきて、藤のうら葉のと打ち誦じ給へる御気色をたまはりて、頭中将花の色濃く、殊に房長きを折りて客人の御盃にくはふ、とりてもてなやむに、大臣
紫にかごとはかけん藤の花まつよりすぎてうれたけれども
宰相盃を持ちながら、気色ばかり拝し奉り給ふさま、いとよしあり
いくかへり露けき春をすぐしきて花のひもとくをりにあふらん
源氏絵として極めて華麗なる場面で、左の作がある。
住吉広輝筆 蜂須賀侯爵旧蔵
春日行秀筆 村山竜平氏蔵
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)