鶴亀

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つるかめ


画題

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解説

画題辞典

鶴に千年の命あり、亀に万年の壽ありとして、古来本朝に於て、この二つを配して嘉瑞とし、或は絵とし、或は彫刻として之を喜ぶを常とす、随つてその図甚だ多し、謡曲にも又長唄の俗曲にも鶴亀の一曲あり、例を唐土に假り、君が齢の千代万代を寿きて、祝賀の曲となす、能又舞踊に於ては鶴亀の装ひして之を舞ふ、絵に於ても之を写せるもの亦少しとせず。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

能の曲名、鶴亀は共に長寿の動物なので、祝儀用として行はる、作者未詳、シテ皇帝、ワキ大臣、処は唐土、能画として画かるゝもの多い、全文を引く。

「それ青陽の春になれば、四季の節会の事はじめ「不老門にて日月の、ひかりを天子叡覧にて「百官卿相に至るまで、袖をつらね、踵をついで、「其数一億百余人、「拝をすゝむる万戸の声、「一同に拝する其音は「天に響きておびたゞし、「庭の砂は金銀の、玉をつらねて敷妙の、五百重の錦や瑠璃の扉、硨磲の行桁瑪瑙の橋、池の汀の鶴亀は、蓬莱山もよそならず、君のめぐみぞ有り難き、「いかに奏聞申すべき事の候ふ、毎年の嘉例の如く、鶴亀を舞はせられ、其後月宮殿にて舞楽を奏せられうずるにて候ふ、「ともかくもはからひ候へ「亀は万年の齢を経、鶴も千代をやかさぬらん、千代のためしの数々に、何をひかまし姫小松の、緑の亀も舞ひ遊ベば、丹頂の鶴も一千年の、齢を君に授け奉り、庭上に参向申しければ、君も御感の余りにや、舞楽を奏して舞ひ給ふ、月宮殿の白衣の袷の、色々妙なる花の袖、秋は時雨の紅葉の羽袖、冬はさえ行く雪の袂を、ひるがへす衣も薄紫の、雲の上人の舞楽の声々に、霓裳羽衣の曲をなせば、山河草木国土ゆたかに、千代万代と舞ひ給へば、官人駕輿丁御輿をはやめ、君のよはひも長生殿に、還御なるこそめてたけれ。

また祝画として双幅などによく画かれる。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)