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=総合= =='''江戸土産 浮名のたまづさ 梅川 忠兵へ'''== 絵師:三代目豊国 [[画像:ArcUP0450.jpg|thumb|]] 落款印章:任好 七十九歳豊国筆 判型:大判/錦絵 版元名:近江屋 九次郎 改印:子二改 出版年月日:1864年2月 上演場所:江戸(見立) 配役:梅川…二代目岩井紫若 忠兵へ…五代目坂東彦三郎 ==='''〈題材〉'''=== 「[[恋飛脚大和往来]]」 ==='''〈梗概〉'''=== 大坂淡路町の飛脚屋亀屋の養子忠兵衛は、新町の遊女、槌屋の梅川と恋仲であったが、遊び仲間の丹波屋八右衛門がその梅川を大金を払って引き取る身請けの話が出る。あわてた忠兵衛はなんとか50両工面して身請けの頭金にするが、残金が調達できないまま、約束の期限になってしまう。 梅川の身請けの金が調達できない忠兵衛であったが、堂島のお屋敷へ届ける為替の金を持ったまま、つい井筒屋へ来てしまう。井筒屋の女将おえんは気を利かして、梅川と忠兵衛をこっそり会わせる。二人は痴話げんかをするも、すぐ仲直りをして、堂島のお屋敷へ行く用があるという忠兵衛を梅川が引き止め、座敷へと連れて行く。そこへ、丹波屋八右衛門が、梅川を身請けする金を持ってやってくるが、身請けがうまくいかないため、金のことで忠兵衛の悪口を言いふらす。二階で聞いていた忠兵衛は、我慢できなくなり、八右衛門のところへ降りてきて言い合いになり、争ううちにあずかっているお屋敷の金の封印を切って出してしまう。この金で梅川を身請けした忠兵衛は、このことを梅川に打ち明け、二人は死ぬ覚悟をかためる。(封印切) 死ぬ前に一目実の父孫右衛門の姿を見ておきたい忠兵衛は、梅川を連れて故郷の新口村へやってくる。二人がひそんでいる家の前を通りかかって転んだ孫右衛門を梅川が介抱するが、孫右衛門は話しているうちに梅川とわかり、忠兵衛がいることも知る。孫右衛門は、わが子忠兵衛が犯罪者となって逃げ回っていることに心を痛め、自首するように諭す。顔を合わせては養子先の親妙閑に申し訳が立たないとこらえる孫右衛門に、梅川は目隠しをして忠兵衛と別れを惜しませるが、追手が近づくため、孫右衛門は自分の目の届かないところで捕まってくれと二人を逃がす。(新口村) 『歌舞伎入門事典』(雄山閣出版株式会社 1994年) ==='''〈登場人物〉'''=== '''亀屋忠兵衛''':大坂の飛脚問屋亀屋妙閑の養子。もとは大和の国新口村(奈良県橿原市)の大百姓孫右衛門の息子。亀屋の養子となり家付き娘のお諏訪という許婚がありながら、新町の槌屋治右衛門抱えの遊女梅川と深い仲になっている。梅川の身請けを狙う恋敵丹波屋八右衛門に挑発、罵倒され、出入りの大名屋敷からの預り金三百両の封印を切る(「封印切」)。公金横領罪で指名手配の身となり、梅川と二人故郷新口村まで逃げる。父孫右衛門と悲しい再会をし、再び降りしきる雪のなかを落ちて行く(「新口村」)。 '''梅川''':大坂新町の廓、槌屋治右衛門抱えの遊女。飛脚問屋亀屋の養子忠兵衛と相思相愛の仲だが、忠兵衛の恋敵丹波屋八右衛門に罵倒されるのを側で見て辛い思いをする。自分ゆえに忠兵衛が出入り先の大名屋敷の預り金三百両の封を切ったことを知り、心中を決意する。(「封印切」)。雪の中、忠兵衛の故郷大和の国新口村(奈良県橿原市)へ赴き、忠兵衛の父孫右衛門と会う(「新口村」)。 『歌舞伎登場人物事典』(白水社 2006年) ==='''〈配役〉'''=== '''2代目岩井紫若''':1829~1882 7代目岩井半四郎の子。母は4代目瀬川菊之丞の次女にあたる。初め子役として岩井久次郎と名乗り江戸の舞台に勤めていたが、天保3(1832)年3代目粂三郎と改める。文久3(1863)年11月中村座で2代目紫若と改める。明治5(1872)年半四郎を襲名。 '''5代目坂東彦三郎''':1832~1877 浅草寺地中某院地内に住む大工為蔵の子とも、歌舞伎作者村冠二(柑子)の弟とも云われる。天保11(1840)年春坂東佐十郎の引立てで4代目坂東彦三郎の養子となる。坂東鶴之助と名乗り養父について修行。1857年市村座で5代目坂東彦三郎を襲名。 『新訂増補 歌舞伎人名事典』(日外アソシエーツ株式会社 2002年) ==='''〈モデルとなった実説〉'''=== 『[[永保記事略]]』(『藤堂藩城代家老日誌』)の、宝永7(1710)年1月25日の条にある、大和の国新口村子百姓四兵衛の息子清八が、大坂の亀屋の養子となり忠兵衛と名乗ったが、盗んだ金で遊女を請け出し駆け落ち、大和の国郡山下上里村の親類宅に隠れているところを逮捕された事件だという。(『歌舞伎登場人物事典』による) 実際に『永保記事略』を見てみると、上記の記事が載っていたため、事実であると思われる。 =='''衣装・小道具'''== ・「新口村」では、忠兵衛と梅川の衣装は黒色縮緬で流れ水に梅の裾模様で、対になっている。また、逃亡中の身であるため、「黒色」が隠蔽色となっていると考えられる。今発表の「江戸土産 浮名のたまづさ」も、二人の衣裳がたいへんよく似ているところから、「新口村」の段ではないだろうか。 ・手ぬぐいの被り方も、忠兵衛は「頬被り」をしている絵が多く、単に顔がわからないように隠すだけではなく、上方風のやわらかみを表現しているように感じられる。また、梅川は頭から垂らすだけの「吹き流し」が多く、女性の色気を醸し出している。 [[画像:101-3225.jpg|thumb|〈3〉豊国 「亀屋忠兵衛」]] [[画像:101-3245.jpg|thumb|〈3〉豊国 「梅川忠兵衛」]] [[画像:101-3249.jpg|thumb|〈3〉豊国 「花揃出情競 壱 梅川忠兵衛」]] [[画像:ArcUP0465.jpg|thumb|〈3〉豊国 「恋合 端唄尽」「梅川 忠兵衛」]] =='''江戸時代の飛脚業について'''== 江戸を中心に五街道・脇街道が設定され宿駅制度が整備された。[[三度飛脚]]は大坂・二条・駿府御番衆の連絡である。公事関係書類を各地に配達する飛脚もあった。 町飛脚は江戸の定飛脚、京都の順番飛脚、大坂の三度飛脚が著名で、合士として三者が営業している。名称はいずれも定期的の意味である。江戸~京・大坂間の所要日数は4日~10日で、各種の便がある。書状・荷物・金子・為替などを取り扱う。また各地の火災などの情報を顧客に通知している。 『日本交通史辞典』(吉川弘文館 2003年) =='''端唄づくし'''== 我がものとおもゑばかろしかさのゆき 恋の重荷をかたにかけ いもがりゆけば冬の夜の 川かせさむく千鳥なく まつ身につらき おきこたつ じつにやるせがないわいな 我つまと思へばとかく朝夕に 恋のよく目がくよ/\と いまごろぬしはなにしてと かはから智慧をかうのふみ まつみはつらき なが見せの じつにくがいじゃないかいな しろたへのゆきのながめはほどもよく 野山もそれとわかちなく まださきもせぬ冬のむめ ふねのこたつにしゆびのまつ おんなこゝろのひと〇しに はづかしながらもくよ/\と ぐちなようだがないているわいな =='''原作との違い'''== 原作である近松門左衛門作『冥途の飛脚』と本作では、おもに ・忠兵衛の友人である八右衛門を、梅川に横恋慕している完全な敵役にしている。 ・原作では雨の「新口村」を雪景色にしている。 ・「封印切」直前の忠兵衛の配置が、原作では戸外、本作では二階の座敷になっている。 ことなどが、大きな違いである。三つ目の忠兵衛の配置は、梅川の身請けをしに来た八右衛門がなかなか思い通りにいかず、忠兵衛の悪口を言う場面で、歌舞伎のほうでは二階で聞いていた忠兵衛が八右衛門のエスカレートする悪口に耐えかね、上から勢いよく駆け降りてそのまま封印切へともつれこむ。こちらのほうが、生身の人間ならではの切迫感や臨場感を観客に与えることができるのではないだろうか。また、「新口村」の段を雪景色にしているのは、視覚的効果を狙っているのであろう。 当時身近な存在であった飛脚業と、忠兵衛の二枚目な性格、また、いつの時代にも存在する「公金横領罪」が融合し、時代を問わず大衆の共感を得る作品になりえたのではないだろうか。 今回の課題としては、端唄づくしの調査と、原作との比較がまだまだ甘かったこと、また、「けいせい恋飛脚」等の他の改作作品との関係性を見ていないことが残っている。今後もっと考察を深めていくために、さらに調査を進めたい。 ==追記== 原作である「冥途の飛脚」には、「封印切」の段と「新口村」の段の間に、相合駕籠の中で崩れた髷を結ってあげたり、互いの太ももをもって炬燵代りに暖めあったりして、二人がしっぽりと愛し合うシーンが描かれているが、「恋飛脚大和往来」にはそのシーンはない。また、改作の忠兵衛は二枚目でありながらコミカルな部分も持ち合わせ、梅川は受け身で、原作に比べて自主性が欠けている印象を受ける。 私が見た絵は二人もしくは片方が黒縮緬の着物を着たものが多かった。愛し合う二人を描きながらも「黒」という負のイメージを連想させる色を使うことで、鑑賞者の目を引いていたのではないだろうか。 ='''参考文献'''= ・『歌舞伎名作事典』(演劇出版社 1996年) ・『歌舞伎鑑賞辞典』(東京堂出版 1993年) ・『歌舞伎ハンドブック 第3版』(三省堂 1994年) ・『新潮日本古典文学集成 浄瑠璃集』(新潮社 1985年) ・『永保記事略』(同朋舎出版部 1974年) ・『歌舞伎入門事典』(雄山閣出版株式会社 1994年) ・『近松の女性たち』(武蔵野書院 1999年) ・『近松の人々』(紫乃故郷舎 1950年) ・『名作歌舞伎全集 第1巻』(東京創元社 1959年) ・『日本音曲全集全15巻 第12巻 小唄・うた澤・端唄全集』(緑蔭書房 1987年) ・『近松文芸の研究』(和泉書院 1999年)
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