演能施設とその場所のソースを表示

=総合=
== 能楽堂（のうがくどう） ==

能楽堂は<ruby><rb>能狂言</rb><rp><rt>のうきょうげん</rt></rp></ruby>の公演のために、近代に入って作られた専用の施設である。近代的な建築物の中に、屋根のある能舞台を入れてある。各能楽堂の規模により差はあるものの、収容人員は300人から500人程度で、概して交通至便な場所にある。

能楽堂には、能舞台の前方から右側にかけて<ruby><rb>見所</rb><rp><rt>けんじょ</rt></rp></ruby>があり、能舞台の裏側に楽屋があり、そのほかにロビー・売店等が備えられているのが普通である。見所は、能楽堂によっては二階席があるものもある。

== 社寺と能舞台（のうぶたい）==

寺社の<ruby><rb>境内</rb><rp><rt>けいだい</rt></rp></ruby>は人の多く集まる所であり、また古くから芸能興行の場でもあった。そのような場所では、<ruby><rb>神事能</rb><rp><rt>じんじのう</rt></rp></ruby>や<ruby><rb>奉納能</rb><rp><rt>ほうのうのう</rt></rp></ruby>なども盛んに行われていたらしく、そのために建てられたと考えられる<ruby><rb>能舞台</rb><rp><rt>のうぶたい</rt></rp></ruby>が各地に伝存している。社寺の能舞台は当然野外建築であり、現在の<ruby><rb>能楽堂</rb><rp><rt>のうがくどう</rt></rp></ruby>の中にある能舞台とは違った、近代以前の能舞台のありようを知ることができる。

京都西本願寺の北能舞台は、江戸時代に能舞台の様式が固定化する以前の形を伝える貴重な舞台であり、能舞台の変遷史を考える上で興味深い存在である。

現在でも、社寺の能舞台を使って奉納などの上演が行われているところもあるが、全く利用されなくなった舞台も多い。

== その他の能舞台 ==

<ruby><rb>能狂言</rb><rp><rt>のうきょうげん</rt></rp></ruby>を社寺へ奉納する際に、本殿や舞楽殿を仮に<ruby><rb>能</rb><rp><rt>のう</rt></rp></ruby>の<ruby><rb>舞台</rb><rp><rt>ぶたい</rt></rp></ruby>として上演を行う場合がある。また、小・中学校の教育の一環としての古典芸能鑑賞などでは、体育館などの広い施設を利用して上演が行われることもある。このような場合は、その本殿や体育館が、能の上演の場である<ruby><rb>能舞台</rb><rp><rt>のうぶたい</rt></rp></ruby>であると見なされる。

== ステージ型舞台 ==

クラシックの演奏会や、他の舞台演劇で使用されるようなステージを、能の上演に用いることがある。このような場所では、ステージ上に<ruby><rb>敷舞台</rb><rp><rt>しきぶたい</rt></rp></ruby>を敷いて、<ruby><rb>能舞台</rb><rp><rt>のうぶたい</rt></rp></ruby>と同じような平面空間を作り出す場合と、ステージ上にある程度の目印を置いて、演者の認識の中で舞台空間の範囲を作り出す場合がある。ステージによる公演は、おおかた<ruby><rb>能楽堂</rb><rp><rt>のうがくどう</rt></rp></ruby>に比べて多数の人員を収容でき、特別な企画公演などが行われることが多い。

== 野外能舞台 ==

<ruby><rb>薪能</rb><rp><rt>たきぎのう</rt></rp></ruby>や社寺などの野外の演能施設以外で公演するときは、仮設で<ruby><rb>能舞台</rb><rp><rt>のうぶたい</rt></rp></ruby>を組み立てる。このような仮設舞台は、<ruby><rb>能楽堂</rb><rp><rt>のうがくどう</rt></rp></ruby>の舞台よりも広く作ってあることが多く、庭園などの広い場所での公演に際して用いられることが多い。社寺にある能舞台も野外の能舞台ではあるが、こちらは大規模な公演に使用されることはなく、基本的には奉納のための舞台であるという性格が強いので、ここでいう野外能舞台とは区別される。

奈良の春日若宮の<ruby><rb>御祭</rb><rp><rt>おんまつり</rt></rp></ruby>では、土を固めた土壇の上に<ruby><rb>敷舞台</rb><rp><rt>しきぶたい</rt></rp></ruby>を敷いて能が演じられる。これも野外能舞台の一つといえるだろう。