虎渓三笑

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こけいさんしょう


画題

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解説

(分類:中国)

画題辞典

支那六朝の世、蘆山に恵遠法師あり、白蓮社を立て、十八賢聖を伴い行を積む。一日陶淵明と陸修靖の両人、尋ねて此に来り、世を忘れて大に道を語る、両人帰る時、恵遠送り出て、虎渓を過ぐる時、三人手を打って大に笑う、之を虎渓三笑という。禅味豊かなるを以て従来画材となる、而して之を画くもの宋の石恪の筆を以て初めとすという。石恪画く所衣服冠履皆笑態ありと評せらる。諸家の作多きが中にも

僧等揚筆(京都毘沙門堂所蔵)、周文筆(浅野侯爵所蔵)、雪舟筆(同)、啓書記筆(京都孤蓬庵所蔵)、雪舟筆(溝口子爵所蔵)、雪舟筆(益田男爵所蔵)、狩野正信筆(秋元子爵所蔵)、狩野山樂筆(京都天端寺所蔵)、土佐光起筆(岡山国富友次郎氏所蔵)、松花堂筆(馬越恭平氏所蔵)、円山応挙筆(近江中村氏所蔵)等挙るに足るべし。現代各方面の作例亦甚だ多し。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

支那六朝の世に、恵遠法師あり、廬山にあつて白蓮社を結び、十八賢を伴つて行を積み律を持す、客あつて之を送るも敢へて虎渓を過ぎず、一日陶淵明と陸修静の両人、法師を尋ねて清談に時を移す、やがて帰らんとするや例に依つて法師これを虎渓に送り、渓を過ぐる数百歩呵々大笑して別れたといふ、これを虎渓三笑といふ、『後素説』に曰く、

戯放禅月作、遠公詠并序、遠法師居廬山下持律精苦過中不受密湯、而作詩換酒、飲陶彭沢、送客無貴賎、不過虎渓而与陸道士行、過虎渓数百歩、大笑而別、故禅月作詩云、

愛陶長官酔兀々、送陸道士、行遅置酒、過渓皆破戒、期何人期師如期故効之、邀陶淵明把酒椀、送陸修静、過虎渓、胸次九流清似鏡、人間万事酔如泥、

註云、禅月師名貫休其詩見於集中、陳舜兪廬山記曰、遠師送陶元亮陸修静不覚過虎渓、因相与大笑、今世伝三笑図蓋起於比、又云、陳舜兪廬山記曰、簡寂観宋陸先生之隠居、隠居名修静、明帝召至闕、設崇虚館通仙堂、以待之、仍会儒釈之士講道於荘厳仏寺、 (山谷十七)

『虎渓三笑』を画くもの古来極めて多い、有名なものを左に挙げる。

長吉筆    (重要美術)  岩崎男爵家蔵

周文筆            浅野侯爵家蔵

雪舟筆            益田男爵家蔵

僧等楊筆           京都毘沙門堂蔵

啓書記筆           京都孤蓬庵蔵

狩野山楽筆          京都天瑞寺蔵

松花堂筆           馬越恭平氏蔵

小栗宗丹筆          松沢家旧蔵

尾形光琳筆          浅田家旧蔵

渡辺崋山筆          秋田本郷氏旧蔵

橋本雅邦筆          古殿氏旧蔵

狩野元信筆          川崎男爵家旧蔵

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)