藤原吉野
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ふじわらの よしの
画題
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解説
前賢故実
兵部卿綱継の子。幼少時より学問が好き、度量が大きく寛大な心を持ち、包容力のある人であった。大変親孝行な人で、両親を敬愛していた。吉野の父がかつて吉野の料理人に新鮮な肉を分けてもらおうとしたが、庖人が吉野がいないことを理由に肉を出し惜しんだ。帰ってきた吉野は、これを聞いて悔恨の情に堪えず泣いてしまった。それから料理人を非難し、以後亡くなるまで肉を食べたことがない。吉野は常に子弟達に「温和且つ寛大な態度で人に接しなさい」と教え諭していた。子弟が過失を犯したとき、吉野は怒ることがなく、順序よく教え諭してあげた。一方、殿上で議論に及んだとき、吉野は気性が強くて恐れずに正直に議論をしていた。正三位、中納言にまで累進、承和十三年薨去、享年六十一歳。
餞美州掾美州掾藤吉野(美州掾の藤原吉野を餞す)、得花字一首(花の字を得たり)、令製淳和帝
今宵倏忽言離別(忽ちに今宵に離別を言うことになり) 不慮分飛似落花(落花のように散り散りになることを心配しなくてもいい) 莫怨白雲千里遠(白雲が千里ほど遠いところにあるのを恨まず) 男兒何處是非家(男児であれば至る処を我家とみなすべきだ)
(『前賢故実』)