五秘密

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ごひみつ


画題

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解説

画題辞典

五秘密は真言宗に於ける金剛界所立の秘法にして、金剛薩陀(中)、慾金剛(東)、触金剛(南)、愛金剛(西)、慢金剛(北)の五金剛菩薩の称なり。此慾触愛慢の四字は煩悩の名なれども仏徳を表わすが故に悉く秘密の名字を付するよりこの五尊を以て五秘密とは名づくなり、密教の最も盛なりし藤原時代の仏画に優品多し。

山城醍醐寺三宝院所蔵、和泉金剛寺所威、武藤山治氏所蔵、皆藤原時代のものなり。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

真如の本体より見た吾人の心識と四煩悩とを象徴して信仰の対象としたもの、金剛薩埵を中心とし、欲、触、愛、慢の四菩薩を四親近の眷属とし然も此五大尊大悲によつて同一の大蓮華に住するが故に、涅槃に着せず、大智によつて同一の大月輪に住するが故に生死に沈まず、其実体は高々たる仏果の万徳を吾人衆生の迷因に摂帰し即ち近く男女の恋愛より起る欲、触、愛、慢の四煩悩を理想化して自証の大楽、化他の大喜を成就すべき最深秘の法なるがゆゑに秘密と名く、不空三蔵訳五秘密修行念誦儀軌に云く『もし五部五密の曼荼羅に入らず三種の秘密加持を受けず自己の有漏三業の身を以て能く無辺の有情を済度すと言はゞ是処あることなし』と。金剛薩埵を大日如来とする時は、欲、触、愛、慢の四尊は次での如く金、宝、法、業の四波羅蜜菩薩となり、薩埵を阿閦仏とする時は、かの四尊は薩、王、愛、喜の四菩薩となり、薩埵を宝生仏とする時は、かの四尊は宝、光、幢、笑の四菩薩となり、薩埵を弥陀仏とする時は、かの四尊は法、利、因、語の四菩薩となり、薩埵を不空成就仏とする時は、かの四尊は業、語、牙、拳の四菩薩となる、即ち五秘密に各々五尊を具足し随つて五智、五眼等を円輪具足し八供四摂の諸尊宛然として無尽荘厳の法界曼荼羅となるのである。  (日本百科大辞典)

五秘密の画像としては京都醍醐三宝院所蔵のものが聞えてゐる。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)