一曲の中での、シテ(して)の相手役の総称で、ワキ方(わきかた)に所属する演者が担当する。いわゆる脇役の一種である。脇役としては、他にツレ(つれ)(子方(こかた)・トモ(とも)を含む)・ワキツレ(わきつれ)・アイ(あい)があるが、全体的に見てワキはその中でも重い役と言うことができる。
たとえば、《敦盛(あつもり)》の蓮生(れんせい・れんしょう)法師・《隅田川(すみだがわ)》の渡し守・《大会(だいえ)》の比叡山(ひえいざん)の僧正(そうじょう)がワキの例として挙げられる。「《敦盛》のワキは蓮生法師だ」などと言う。