鳳凰
ほうおう
画題
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解説
画題辞典
鳳は至徳の瑞應として現はるゝ神鳥なり、左伝雕題に、「鳳は鳥の追うなり、故に之に加ふるに皇の字を以てす。古、鳳の字なし云々」理想の鳥とて羽色五彩絢爛として其形亦極めて麗はし、「桐鳳」「朝陽鳳凰」等の画題あり、その条下を見るべし、その他鳳凰の画にして知られたるものは、戴文進筆鳳凰(京都龍光院所蔵)林良筆鳳鳳竹石(京都相国寺所蔵)土佐光起筆鳳凰(近江村田利兵衛氏所蔵)狩野常信筆鳳凰屏風(東京美術學校所蔵)
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
鳳凰は昔から瑞鳥として画き出された理想の鳥で麟、亀、竜と共に四瑞として尊重され、その形は荘厳華麗を極め、鳥類のもつ凡ゆる美と威厳を備へ、目出度いものには絶えずこの鳥が現はれて来る。その古く現はれてゐるものには
鳳凰霊瑞神鳥也、雄を鳳と云ひ、雌を凰といふ (毛詩国字弁)
五采而文、名曰鳳凰。 (山海経南山経)
又、『本草綱目』によれば、
『此の鳥の状、前は鴻の如く後は麟の如く、頷は燕の如く啄は鶏の如く、頸は蛇の如く、尾は魚の如く、顙は鸛の如く文は竜の如く、背は亀の如く、羽には五采を備へ高さは四五尺、四海に翺翔し、天下に道あれば則ち現はると。更に曰く、翼は竿の如く、其の声は簫の如く、生ける虫を啄まず、生の草を折らず群居することなく、侶と行かず、梧桐に非ざれば棲まず、竹の実に非れば食はず、醴泉に非ざれば飲まず、其の鳴くや五音に中り、飛べば則ち群鳥これに従ふ、雄を鳳となし、雌を凰となし、天にあつては朱雀となり、羽ある虫三百六十にして鳳はこれが長となる、故に文字は風に従ふ、風は総ての意、其の種に四あり、赤きものを鳳となし、青多きものを鸞といひ、黄多きものを鵷、白多きものを鷫鸘といふ、南思州北甘山は壁立千仭猿も至ること能はず、鳳凰はその上に巣食ひ惟虫魚を食す、大風雨に遇へば飃り堕つ、其雛小きもの猶鶴の如く、而して足やゝ短かく脚下に白物あり、之を鳳凰台といふ。
鳳凰、鶏頭、燕頷、蛇頸、鴻身、魚尾、骿翼五色、首文曰徳、翼文曰順、背文義、腹文信、膺文仁、雄鳴曰即々、雌鳴日足々、昏鳴曰固常、厳鳴曰発明、画鳴曰保長、挙鳴曰上翔、集鳴曰帰昌。 (広雅)
鳳凰を画いた名作に左の諸点がある。
林良筆 『鳳凰竹石』 京都相国寺蔵
若冲筆 『老松鳳凰』 帝室御物
戴文進筆 京都竜光院蔵
孫億筆 『鳳凰金鶏』 松浦伯爵家旧蔵
土佐光起筆 近江村田家蔵
呂紀筆 『鳳風鶴鴛鴦』 島津公爵家蔵
黄筌筆 『鳳凰花卉』 笹川喜三郎氏蔵
荒木十畝筆 『白鳳』 帝室御物
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)