虎御前

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とらごぜん


画題

画像(Open)


解説

(分類:戯曲)

東洋画題綜覧

相模の国大磯の遊女、母は大磯の長者某の女、父は嘗て関東に謫せられた伏見大納言実基、虎、歌を善くし、容貌美しく、曽我祐成屡々大磯に遊び虎を見て悦び、虎また相愛す、相豪競うて慇懃を通ぜんとしたが顧みず、和田義盛は虎の家に飲み虎に酌をさせやうとした処虎が応じないので、義盛大に怒り之を責めたが、虎は曽我は寒士、和田は豪族、妾貧富の故を以て其の心を易へやうかと、時に祐成虎の許にあつた、義盛、祐成に請うて同座し酌をせしめやうとしたが、虎は祐成に酌するばかりで義盛には遂に盃を手にしなかつた、祐成、復讐の前、虎を訪ふて具さに別れを惜んだが、祐成本懐を達し、仁田四郎に討たるゝや、頼朝、虎を召して、問ひ質し許されて帰るや悲嘆やる方なく、箱根山に登り曽行実に請ひ祐成の冥福を弔ひ、祐成の愛馬を施物として遂に尼となり、信濃の善光寺に赴く年僅かに十九、後、祐成復讐の地に到り涙を流し和歌を詠じて、曰く

浮世にぞ思ひそめにし墨衣今また露の何とおくらん

露とのみ消えにし跡を来てみれば尾花がすゑに秋風ぞ吹く

と、それより大磯に帰り、高麗寺に住み、後、紀州熊野で歿したともいふ。歳七十一。  (日本人名辞書)

虎御前は美人画の好画題として浮世絵によく画かれてゐる。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)