粟鶉

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あわうずら


画題

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解説

東洋画題綜覧

晩秋の候、粟の熟する頃、鶉群をなしてこれに集る、古来、粟鶉として古歌に詠まれ従つて絵に画かるゝもの多い、『夫木集』には、

鷹のこを手にはすゑねどうづらなく粟津の原にけふもくらしつ  法橋顕昭

うづらなく粟つのはらのしのすゝきすきそやられぬ秋の夕ベは  藤原俊成

たかのこはまろにたはらむてにすゑて粟津か原の鶉かりせん   読人知らず

などと詠じてゐる、粟は五穀の一。

あはに大小あり夏秋早晩段々あり、共の種子数かぎりなく多き物なり、又、粘るをば秫と云ふなり、稲に次ぎ麦におとらず、上品にて古へより貴き穀とするなり大さは狐の尾のごとく小さきは鼬の尾の如し、ううる地は、黄白土は粟によろしとあり、黒土赤土も肥えたる、深きはよけれども黄白の肥えたるが、取分けよきものなり、惣じて粟は薄く瘠せたる地にはよからず、山畠にても、平原の畠にてもかたのごとく肥えたる性のよき地ならでは成長し難し。  (農業全書)

粟鶉の作で主なものに左の諸点がある。

殷元良筆         大倉集古館蔵

土佐光起筆        浅田家旧蔵

土佐光芳筆        神戸田村家旧蔵

啓書記筆         青山子爵家旧蔵

土岐富景筆  (重美)  徳川達道氏蔵

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)