牽牛花
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あさがお
画題
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解説
東洋画題綜覧
朝顔の文字が一般に用ひられてゐる、旋花〈ひるがほ〉科に属する一年生草本で、最も普通に知られてゐる夏の花である、元は熱帯産であるが、支那を経て日本に渡来し、初めは薬用として牽牛子〈けにごし〉の名を以て呼ばれてゐた、よく一般に『万葉集』の柿本人麿の歌
朝かほは朝露おひて咲くといへど夕かげにこそ咲きまさりけれ
や山上憶良の秋七草の歌の朝貌が問題になるが、これは桔梗のことらしく、今日いふ朝顔でないことは、これまでいろ/\現はれた学説によつても明かである、牽牛花は、牽牛星の現はれる頃咲くからの名、別に『蕣』の字も用ひてゐる、茎が左巻きであると共に、蕾が右に巻いてゐることも顕著なことである、許六の『百花譜』に、
朝顔の盛りすくなきは、よき女の常は病がちに打なやみ、土用八専のかはるかはる隙なきに打ふし、一月の日数も二十日はかしらからげに引込たるが、たま/\空晴れきり朝日さし出でたるに心地よげに打粧ひ、衣裳などあらためて、ほのめき出たるには似たり。
と書いてゐるのは面白い。
扨て此の花を画いた作は中々多い、主な作を挙げる。
伝山楽筆 『朝顔垣』 京都天球院蔵
北林何帠筆 『秋草図』 東京美術学絞蔵
安田靫彦筆 第二回七絃会出品
土田麦僊筆 国画創作協会出品
今尾景年筆 『残月朝顔』 横江竹軒氏旧蔵
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)