朝顔

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あさがお


画題

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解説

画題辞典

一。朝顔、又牽牛花、又舜花という。一種の蔓草にして、早朝開花し日中に萎む。花美しく清趣多ければ、人家に栽培せられ賞せらる。画かるゝ所亦多し、緒方光琳、円山応挙、酒井抱一等の図多し。

二。源氏物語の一節に「あさがお」あり、式部卿の宮の姫君にて、加茂の斎に立ち玉ふ故に。あさがおの斎院とはいうなり。源氏の君之に思いをかけ、屡々通われたれども心強くして従わず、其の後伯母なる桃園の宮の手に一所に御座はしぬ。源氏「見し折の露わすられぬ朝がほの 花のさかりは過ぎやしぬらん」とあり。後には尼となるという。源氏絵の一として画かる。

三。戯曲「生写朝顔日記」(いきうつしあさがおにっき)の女主人公に朝顔あり、もと西国某藩重臣秋月弓之助の女にて深雪(みゆき)といいしを、宮城阿曽次郎に恋慕の余り、家を出て、眼を疾みて盲目となり、東海道をさすらいて三味線引きては朝顔の俗唄を口にし、瞽女とし夫を尋ぬる哀れ深き事なり。近頃、横山大観、鈴木清方等の図あり。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

山田案山子作翠松園校補の戯曲、『生写朝顔日記』の女主人公、秋月弓之助の娘深雪は宇治の蛍狩で宮城阿曽次郎といふ美しい侍と恋に落ちたが、秋月一家は国許に騒動が起つて帰国することゝなり、深雪と阿曽次郎は明石の浦にはかない船別れをする、それから深雪は阿曽次郎に思ひ焦れ、つひに目を泣きつぶし朝顔と呼ばれ門附となり、国々をさすらふ中、東海道島田の宿でゆくりなくも阿曽次郎の駒沢次郎左衛門にめぐりあふのであるが、盲の悲しさにそれがわからず、駒沢は『朝顔露の干ぬ間』と画いた扇子を渡す、やがて旧臣であつた宿屋の主人徳右衛門の忠節で眼は開き目出度く駒沢と祝言することになる。

これを画いたもの、曽て横山大観に作あり、近くは次の二作世に聞ゆ。

鏑木清方筆  『朝顔と駅路の女』  第五回文展出品

山川秀峰筆  『盲女朝顔』     第十回帝展出品

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)