伊勢物語
総合
詳細書誌情報
- よみ いせものがたり
- 巻冊
- 著者
- 成立年
諸本
(+は古典籍総合目録で確認)
版元
いせものがたり
画題
画像(Open)
解説
(分類:物語)
画題辞典
伊勢物語は竹取物語に次ぎて古く平安朝に成りし物語である。一首の和歌を基として、趣向を案出したもので、文は寧ろ歌の端書の如き感あり。一般物語の如く全篇を通じ連絡せるものにあらずして、一つ一つの記事を書きつらねしものである。重もに在原業平に関する情事を描けるより、業平即ち作者として言伝えられしも作者詳ならず、其の伊勢といえるは、古来「伊勢人は僻事多く云ふ」という諺あるのから取り、此物語の多く男女の痴情を書き集めしものなるより名付けしという説、現今にては最も有力なるが如し。此の物語中人口に膾炙せるものは、二条后(高子、清和后)と業平との情事、業平東下り、業平と紀有常の女との情事、業平小野に惟喬親王を訪う事等である。又謡曲に此の物語よりとれるものに、雲林院、杜若、井筒などがある。其等は各其の条を見よ。又業平の一代に就きては「ありはらのなりひら」(在原業平)を参照せよ。之を画いたものは、足利以前には稍少く、従つて鎌倉時代のものとしては
東京美術学校、京都田中勘兵衛氏所蔵、横浜原富太郎氏所蔵などに断片の伝わってあるばかりである。続いてその後のものでは
筆者不明(福岡子爵所蔵)、同(村山龍平氏所蔵)、土佐光起画帖(井上侯爵所蔵)
俵屋宗達筆(益田男爵所蔵)、緒方光琳筆(東京帯室博物館所蔵)
などあり、其他住吉如慶、岩佐又兵衛、酒井抱一などの画いたものがある。
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
竹取物語と共に平安朝初期の仮名文の物語の双壁で、古来在原業平の日記といはれ、平安朝以来在五中将物語、或は在五中将日記とも呼ばれた、しかし中に業平の作でない歌もあり、業平歿後のことも記されてゐたりするので、筆者にも種々の説がある、伊勢物語の名についても説がいろ/\あるが、伊勢斎宮の記事が最初にあつたらしく、そこで伊勢物語といつたといふ説が有力である、全篇百二十六の物語から成り、『昔男ありけり』の句で筆を起してゐる、此の『昔男ありけり』といふのは業平自身をさしての事といはれる、その中でも、東下り、筒井筒、芥川など有名で、いろ/\大和絵に画かれてゐる、各項参照。
尾形光琳筆 帝室博物館蔵
酒井抱一筆 松本双軒庵旧蔵
狩野探幽筆 浅田家旧蔵
土佐光起筆(詞近衛基熙) 井上侯爵家旧蔵
無款絵巻 山梨村松家旧蔵
島内松南筆 第五回文展出品
吉田秋光筆 第十一回文展出品
織田観潮筆 第一回帝展出品
山口蓬春筆 寿徳荘旧蔵
吉川霊華筆 鈴木新吉氏蔵
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)