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●海老蔵の義経千本桜

九月五日に南座で『義経千本桜』の夜の部を鑑賞しました。海老蔵は源九郎狐、平知盛、佐藤忠信、いがみの権太の四役を熱演しました。さらに静御前を扮した坂東玉三郎の優雅な美しさ、義経を演じた中村翫雀の円熟もありまして、夜の部は素晴らしい舞台となりました。
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今年の南座の九月大歌舞伎は『義経千本桜』の通し狂言です。昼の部は「序幕 鳥居前」「二幕目 渡海屋、大物浦」「三幕目 道行初音旅」、夜の部は「四幕目 木の実、小金吾討死」「五幕目 すし屋」「大詰 川連法眼館、蔵王堂」となっています。 海老蔵は源九郎狐、平知盛、佐藤忠信、いがみの権太の四役を熱演しました。さらに静御前を扮した坂東玉三郎の優雅な美しさ、義経を演じた中村翫雀の円熟も観客を魅了しました。海老蔵が勤めた四役の内に特によかったのは源九郎狐の役でした。身体動作の柔らかさとやや落ち着きのない雰囲気で狐の動物的な特徴が表現され、細くてやわらかい声と素直な表情から狐の知性と哀楽が伝わってきます。 今回の上演は、訪欧公演をした海老蔵の凱旋公演と位置付けられています。訪欧大歌舞伎は現地の劇場の要請で上演時間の長い『義経千本桜』を見世場の多い「忠信」に絞り、一回の上演時間を二時間半に短縮しました。そのため訪欧時の演目は"忠信篇"となり、「序幕」「二幕目」「大詰」の三幕が上演されました。そして、今回の南座での大歌舞伎も、日によって"忠信篇"だけが上演されることもあります。 なお、今回のパンフレットに上演の芝居絵があります。落款は「平成二十二年九月 とよ国 印」となっています。絵は筆先が繊細で美しいです。役者の顔はあまり似顔ではありませんが、色彩や見せ場の演技は写実的に描かれています。

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