本朝廿四孝

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ほんちょうにじゅうしこう


総合


歌舞伎

浄瑠璃、五段、時代物近松半二、竹本三郎兵衛等合作。角書に「武田信玄長尾謙信」とあり。明和三年(1766)竹本座。 武田・上杉両家の確執を題材とし、そこに斎藤道三を絡ませ、また諏訪湖の白狐伝説・二十四孝の説話なども織り交ぜ、複雑に構成・脚色された五段構成の時代浄瑠璃。武田信玄と上杉謙信とによる戦い史実を背景に、山本勘助などの伝説を加えた。近松の「信州川中島合戦」の影響を多く受けている。 山本勘助の遺児のうち兄横蔵は父の名をつぎ、弟慈悲蔵は直江山城守として、それぞれ武田、上杉の軍師となる。これに母の偏愛や竹の子堀りの件をからめている(勘助住家)。上杉の息女八重垣姫は許嫁の武田勝頼が死んだものと思い、十種香を焚いて回向をする。そこへ菊作りの蓑作に身をやつした勝頼が現われるが、それと見ぬいた謙信は蓑作を使いに出し、追手に討たせようとする。姫は勝頼の危急を救うため家宝の法性の兜に祈り、霊狐に守られてその跡を追う(謙信館)。 八重垣姫は三姫の中でも難しい役とされている。五世中村歌右衛門が得意とした。 本曲は直ちに歌舞伎にも移され、大阪では明和三年五月中座で、江戸では安永五年夏中村座で上演、以後今日まで上演される。三段目切「勘助住家」、(筍堀り)四段目「謙信館」(十種香、狐火)が今日演ぜられる。


・「歌舞伎名作事典」演劇出版社 1996・8 ・「歌舞伎事典」服部幸雄・富田鉄之助・廣末保編 平凡社 2000・1 ・「演劇百科大事典」早稲田大学坪内博士記念演劇博物館編・河竹繁俊監修 平凡社 1990・3