魚藍観音

提供: ArtWiki
ナビゲーションに移動 検索に移動

ぎょらんかんのん


画題

画像(Open)


解説

画題辞典

三十三観音の一なり、其手に魚藍を持せらる。其来由は宋の時海州に昫山賀なるものあり、観音を信じて一家葷を茹ず、日々観音像を画き頗る精巧の称あり。一日一乞丐あり、瘡癩汚穢甚だし、一鯉魚を携え来りて賀に観音の画を求む。賀葷を絶つを以て之を謝す、一乞士曰く君好んで観音を画くも真を得ず、故に君が為めに好標本を授けんが為めに来るのみと。賀因って之を室に導く、已にして至れば乞丐は化して観音の真相を顕わし、金光繚繞し室中異香芬馥たり、此に於て賀始めて観音の真相を得と、是れ魚藍観音の権輿なり、仏像図彙には観音鯉魚に乗るの形を図せるも、通例手に魚藍を持つを図とす。純仏画といわんよりも多く芸術的に取扱わるゝこと多し。

古く明兆筆を初めとし、探幽以下狩野派に亦此画多し。伝宋徽宗皇帝筆一図(末松子爵旧蔵)、明兆筆墨画一図(京都芳春院所蔵)、啓書記筆一図(秋元子爵旧蔵)、円山応挙筆一図(小津与右衛門氏所蔵)。現代にも作らるゝこと多し。

(『画題辞典』斎藤隆三)