金億

提供: ArtWiki
移動: 案内検索

総合

金億(キム・オク/1893~?)

詩人。号は岸曙、戸籍名は煕権。平安北道・定州生まれ。慶應義塾文科中退後に帰国、五山中学などで教員をつとめ、『東亜日報』、『毎日申報』の記者や京城放送局次長などをつとめた。1918年に『泰西文芸新報』に創作詩を発表する一方、ツルゲーネフ、ヴェルレーヌ、ボードレール、ランボーらの詩を翻訳・紹介した。また、20年代初葉には『廃墟』『創造』の同人として活躍し、『廃墟』創刊号には論文「スフィンクスの苦悩」で象徴主義詩を紹介する一方、フランス象徴派の翻訳詩集『懊悩の舞踏』(21)を刊行、ヴェルレーヌやボードレールらの詩を翻訳・紹介した。その他にタゴールやシモンズの詩の翻訳もあるが、『岸曙詩集』(29)所収の創作詩には民謡調のリズムを考慮したものが多く、「格調詩」という名で七五調四行の定型律を築いた。弟子の金素月に詩作を教え、ともに二〇年代の民謡詩の歴史に残る作品を発表した。解放後は出版社・首善社の主幹を歴任し、朝鮮戦争時に北朝鮮へ渡った後、出版社の校正員をつとめ、五六年には平和統一促進協議会の中央委員に任命されたが、その後、地方の共同農場に強制移住させられ、以後は行方不明とされている。

引用出典:李光鎬編/尹相仁・渡辺直紀訳『韓国の近現代文学』(法政大学出版局 2001・8・1)「人名解説」

業績として創作詩集『くらげの歌』(1923)、タゴールの詩集『ギタンジャリ』(23)・『新月』(24)・『園丁』(24)の翻訳の他、エスペラント語の朝鮮初の紹介がある。

典拠:三枝壽勝『アジア理解講座1996年度第3期 「韓国文学を味わう」報告書』(国際交流基金アジアセンター 1997・12・26)