釈迦説法

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しゃかせっぽう


画題

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解説

東洋画題綜覧

釈迦既に成道正覚を得て山を出で布教の途に就く、先づ苦行林に別れた彼の五人の比丘を訓へやうと、その移り棲む波奈羅斯国に行き鹿野苑に至る、五人の比丘は釈迦を以て五欲の境に帰つたものとして蔑んだが、その近づくにつれその威容に打たれ、斉しく畏敬の情を起す、釈迦即ち五人の比丘に向つて賢聖八道を説き、又苦集滅道の四聖諦を説く、これを釈迦説法と題し画かるゝ処多い。

仏陀乃ち彼等の為めに苦行によりて解説を得べからざるを説き若し迷をだに離れなば良し肉を食ひ美服を着くるとも、又経典を講ぜず僧侶に布施せず寒熱饑餓の難行をなさずとも、豪も解脱の道に障り無きを説き、天下の不浄なるものは肉を食ふことに非ずして五欲に存することを説き、情炎欲火を滅ぼすことなくして徒に悲惨の生涯を営むも畢竟益無きを説き、身疲るれば心随て乱る、健全なる身体にして初めて円満なる智慧の光を点じ得べきこと即ち中道なりと説きぬ、五人の比丘は仏陀の教を聞きて大に感動し多年勤行の益無かりしを慙ぢ、接足作礼して仏弟子たらむことを求めぬ、仏陀は其願を容れ更に四聖諦の真理を説き給ひぬ。  (高山樗牛―釈迦)

悔前筆釈迦説法図  高野山親王院蔵

刺繍釈迦説法図   大和勧修寺蔵

釈迦説法図     敦煌出土壁画

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)