都鳥

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みやこどり


画題

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解説

東洋画題綜覧

鴎の一種ゆりかもめの雅名、普通の鴎よりは小さく全身雪白で、翼はやや灰色を帯び、初列風切は白くて先と縁とが黒く、嘴と脚は赤みを帯びた橙色で美しく、水辺の鳥として『伊勢物語』ほかいろいろの書にも見えてゐる。

なほゆき/\て武蔵の国と下総の国との中に、いと大なる川あり、それを隅田川といふ、その河のほとりに群れ居て思ひやれば、かぎりなく遠くも来にけるかなとわびあへるに、渡守はや般に乗れ日もくれなんといふに、乗りてわたらんとするに、皆人ものわびしくて京に思ふ人なきにしもあらず、さるをりしも、白き鳥の喙と足と赤き鴫の大さなる、水の上に遊びつゝ魚を食ふ、京には見えぬ鳥なれば、皆人見しらず、渡守に問ひければ、これなん都鳥といふを聞きて、

名にしおはゞいざこととはん都鳥我が思ふ人ありやなしやと  (伊勢物語)

都鳥は古来隅田川の景物としてよく画かれ、殊に葛飾北斎に名作がある。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)