西瓜

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すいか


画題

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解説

東洋画題綜覧

西瓜は葫芦科に属する一年生の蔓生植物で畑地にも栽培され、葉は刻み込み深く形面白く花は黄色で雌雄ともに同株に咲き、実は円形でその皮の色には一色の濃緑色なもの、薄い緑色のもの、白い斑紋のあるものなどいろいろある、その原産地はアフリカといはれ、中世紀の頃、アフリカの探検隊に依つて発見され、欧洲に伝はり、一方中央アジアを経て印度に入り、支那に伝はり、それが今日の如く日本に於ても盛に栽培されるに至つた、支那では西瓜の文字を用ひてゐるやうに西域から伝へられたことを物語つてゐるが、それは五代の時、胡嵪が軍を率ゐて西域の回紇を討ち、その際西瓜の種子を齎らし帰つたのだといふ、江戸に来たのは慶安年中である。

西瓜、寛永年中西洋より始めて渡る、薩摩に植るに依つて、さつま種を上品とす、江戸に来本りしは慶安の頃にして、由比正雪の乱の翌年のよしなり、砂村、亀戸、西袋、鷺沼、馬加、金町を東と云ふなり、又、大森羽田を南といふ。  (立路漫筆)

     西瓜     李頎

北窓臥箪蓮心花、竹裏蝉嗚西日斜、羽扇揺風却珠汗、玉盆貯水割甘瓜。

     同      簫枯

甘瓜剖緑出寒泉、碧甌浮花酌春茗、嚼瓜啜茗身清涼、汗消絺綌如迎霜。

西瓜は外部濃緑色、肉紅色、葉も面白いので古く徐崇嗣にも西瓜に兎の作があり、日本にも珍らしくない、二三を挙げる。

芸阿弥筆   『西瓜図』    岡本捨三氏旧蔵

葛飾北斎筆  『都鳥西瓜』   本山豊実氏旧蔵

郷倉千靱筆  『西瓜畑』    第九回院展出品

常岡文亀筆  『菜園』     帝展出品

山田広吉筆  『卓上夏果』   第十九回院展出品

荒木十畝筆  『西瓜小虫図』  著者蔵

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)