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かに


画題

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解説

東洋画題綜覧

蟹は節足動物の甲殻類十脚目に属し、短尾亜目である、此の短尾といふ言葉は甲殻の一部が節を為して腹面に廻り尾の痕跡を残してあるからであるといふ、十脚目といふのは、左右に五本宛の脚があるからで、その一番目は大抵鉗〈はさみ〉を有してゐる、これを動物学上では可動指と呼ぶ、蟹には夥しい種類があるが、これにまた大体の区分がつけてある、その一、圭口類といふのは、口の辺が三角形になつて、頭の先から水を出す、これは平家蟹や、『こぶし蟹』などそれに属する、第二は鋭頭類で頭部が尖つてゐる、『たらば蟹』や『もくづ蟹』がそれである、第三は円殻類で文字の通り甲殻の円形なるもの、弁慶蟹、猿猴蟹などそれであり、品川辺で漁れる『かざみ』の如き此部類であり、第四に石蟹、『しほまねぎ』のやうな方殻類、それから淡水に棲息し南画などに多く描かれるのは沢蟹で、これはまた別の部門に属してゐる。異名、横行介子、無腸公子

蟹を画いた主な作

梅軒筆     『大根蟹』    説田鶴翁氏旧蔵

松花堂筆    『蟹』      松浦伯爵家旧蔵

渡辺崋山筆   『荳蟹』     神戸鹿峰氏旧蔵

高橋草坪筆   『緑蔭紫蟹』   松本双軒庵旧蔵

鄭板橋筆    『写竹枝詞意』  支那名画集所載

日根対山筆   『石澗群蟹巻』  説田鶴翁氏旧蔵

応挙蕪村合作  『蟹蛙図』    岸上家旧蔵

荒木十畝筆   『海物』     読画会展出品

山村耕花筆   『海の幸』    個人展覧会出品

横山大観筆   『麗日』     第二十六回院展出品

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)