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きく


画題

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解説

東洋画題綜覧

菊は秋の代表花として、その美、群芳に冠絶してゐる、畏くも皇室の御紋章と定めさせられ、国民尊崇の的となつてゐること言ふまでもない。此の植物は東洋の原産で、もとは野生の『かはらよもぎ』である、早くから人の手に依つて栽培されその名は実に千五六百年前から現はれて居る、今日菊の祖ともいふべき銘菊が支那から渡来したのは、仁徳天皇の七十三年で、その時に渡つた種類は青、黄、赤、白、黒の五種であつたといふ、その後亦五菊と称するものが支那から渡り先づ筑前博多から漸次各地に分布したといふ、その五菊といふのは、『鵞毛』『玉牡丹』『御愛』『酔楊妃』『京大白』であるといふ、重陽の宴に菊の酒を酌んで長寿延年を祈ること洽く人の知る処である、支那に於ける異名亦極めて多く

黄菊、治牆、周盈、節花、女花、女節、女茎、日精、更生、金蕊、陰成、喜客、禽華、寿客、佳友、冷香、金花伝、延年、帝女花、延齢客、錦玲瓏、笑靨金、長生白、久視香、晩節香、霜下条、重陽花、君子花、隠逸花、金剛不壊王

など皆それで、日本でも之に従つて

千代見草、契草、百代草、千代草、齢草、黄金草、日ぐさ、をとめ草、秋しべの花、をきなぐさ、くさのあるじ、のこぎり草、長月草

などの異名がある、種類は大菊、中菊、小菊の三種に分けられ、更にそれが非常に多くの園芸的品種に分れてゐる。

菊の画かれた名作として聞えた作左の通り

狩野永徳筆  『草花屏風』   御物

尾形光琳筆  『秋草屏風』   東京美術学校蔵

徽宗皇帝筆  『菊雀図』    碧川鹿三郎氏蔵

張秋穀筆   『菊花図』    吉田楓軒氏旧蔵

椿椿山筆   『菊花蟷螂図』  小倉のぶ氏蔵

雪舟筆    『菊と芙蓉図』  井上侯爵家旧蔵

伊藤若冲筆  『菊花流水図』  御物

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)