筒井筒

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つついづつ


画題

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解説

画題辞典

幼馴染を筒井筒という、井筒の側に無心に戯れしをいうなり。伊勢物語に昔田舎わたらひしてける人の子とも井のもとに出でて遊びけるを、おとなになりければ男も女もはぢかはしてありけれど、男は此女こそえめと思い、女も此男をこそと思いつゝ親のあはすることも聞かでなんありける、さてこのとなりの男のもとよりかくなん、つゝゐつゝ井筒にかけしまろがたけおひにけらしなあひ見ざるまに、女かへし、くらべこしふりわけ髪もかた過ぎぬ君ならずして誰かなくべき、是亦倭絵派の好画題として屡々画かるゝ所なり。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

伊勢物語』の二十三段である、幼な馴染から恋にまで行く可憐な一節である。

昔田舎わたらひしける人の子ども、井のもとにいでゝ遊びけるを、おとなになりにければ、おとこも女もはぢかはして有りけれど、男は此の女をこそえめとおもふ、女は此の男をと思ひつゝ、おやのあはすれとも聞かでなんありける、さてこの隣の男のもとよりかくなん

つついつゝ井筒にかけしまろがたけ過ぎにけらしなあひ見ざるまに

女かへし

くらべこしふりわけ髪もかた過ぎぬ君ならずしてたれかあぐベき

などいひ/\て、ついにほゐのことくあひにけり

その井筒のほとり、幼き男女の遊ぶさま美しいので、よく大和絵等に画かれる。

島内松南筆  『津々井筒』  第五回文展出品

織田観潮筆  『筒井筒』   第一回帝展出品

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)