矢田地蔵

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やたじぞう


画題

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解説

画題辞典

矢田地蔵は大和国生駒郡矢田村金剛山寺にあり、本尊地蔵菩薩俗に矢田寺といふ、矢田地蔵縁起一巻京都誓願寺にあり,国宝なり。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

矢田地蔵は大和国生駒郡矢田村金剛峰寺にある、よつて矢田地蔵といふ、これが縁起を画いたのが国宝『矢田地蔵縁起絵巻』である、その概略を記すと、

此寺はもと天武天皇護持僧智通僧正が天皇の御願により建立したのであるが、延暦十五年満米といふ僧此寺に住す、小野篁此僧に帰依した処、篁は其身は本朝にあるが魂は閻魔庁にあり、琰魔庁の諸臣が議して篁に菩薩戒を受けしめやうとする、篁乃ち戒師として満米を招き菩薩戒を受ける、満米閻魔に請うて地獄を見やうとする、魔王これを許し先づ岳上に立ち鉄門を開かしめると猛火天に沖し凄惨名状することが出来ない、その猛火の中にあつて苦悩する衆生を救済してゐる一僧がある、満米あれは何人ぞと魔王に聞くとかの僧こそ地蔵菩薩であると答へる、これから地蔵菩薩と満米との問答となり、衆生済度のためと米を入れた小箱を与へらる、この小箱の米、いかに使つても減ることなく、何時も箱に充ちてゐる、それから時人満米と呼ぶに至つた、乃ち地獄にて謁した地蔵菩薩の像を作らしめて安置したといふのがそれで、別に大和国宇智郡桜井郷の住人武者所康成といふ人の発心物語がある。

筆者は春日隆兼、詞書は世尊寺殿、即ち行房卿と伝へられてゐる。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)