狛犬

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こまいぬ


画題

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解説

東洋画題綜覧

支那で兕〈じ〉と云ふ蒼黒色一角の獣のこと、其皮堅ければ甲に作つたといふ、倭訓栞には、高麗より渡つたといひ、御即位の時、承明門の左右に銅の犬を置かせらるゝものこれであるといふ、其の像の狛の国より伝はつたので、其の国の犬と見て狛犬と呼んだのであらう、兕は祥瑞のものであり、犬は善く衛り、魔物を払ふといふ所から警衛の具とするのであらう、又、獅子は天竺に於て群獣を畏怖せしめる獣とする、その伝、支那に入つて一対の石造などにして、宮室陵墓、仏寺の前などに飾られる、我が国では獅子をも狛犬をも一対にし、又、獅子と狛犬とを対せしむるは、それに倣つたのであらう、平安朝以後のことらしい、紫宸殿の賢聖障子は著聞集十一に『寛平の御時始めて画かれける也』とあり、これが初めであらう、障子の中央に、左に獅子、右に狛犬を図して一角あり、(左右の別は舞楽に唐楽天竺楽は左方とし、高麗楽は右方とする例なるか)狛犬の図並に彫刻を見るに、其形多くは猛々しくて、獅子に似てゐる、是れ相対せしめ、邪魅を圧せしむべさ創意であらうと。  (大言海)

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)