東屋

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あづまや


画題

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解説

画題辞典

東屋は源氏物語の一巻なり。宇治の姫君中の宮の母の姪なる中将のきみは、常陸の守の妻なり、その中に一人の姫あり、匂宮兵部卿の北の方中の君これを薫の大将に語り玉ふ、然るに此時已に姫の母は左近少将なる人を婿になと語りし後のことなり。北の方姫を御内に迎え置かれしに匂宮折々さしのぞかせ玉ひければ、めのとあさましく思いて、荒々しき小家に隠し置かる。然るを薫忍び寄リ玉ふ、宿直のものあつま聲にて誰何しけるに、「さしとむる葎のしけきあつまやの あまりほとふるあまそゝき哉」と呼ぶ。かくて晩方此姫を車にかきのせ、宇治へ連れ行き住まはせ玉ふとなり、頃に九月なり。源氏絵の一として図せらる。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

源氏五十四帖の中、薫大将廿五歳の八月より、九月までのことを綴つてゐる、主に浮舟の君の生ひ立ちで、浮舟の母は浮舟を中君の許に託する、匂宮その美しさを見て想をかける、浮舟逃れて三条に去り、薫はその住居を探し出して宇治に迎へる、その浮舟の住み給ふ荒々しい小屋に薫の大将の忍びよる一節、

雨やや降りくれば、空はいとくらし、宿直人のあやしき声したる、夜行うちして、家の辰巳の隅のくづれいとあやうし、この人の御車入るべくは、引き入れて御門さしてよ、かゝる人の供人こそ、心はうたてあれなどいひあへるも、むら/\しく聞き習はぬ心地し給ふ、さのゝわたりに家もあらなくになど口ずさびて、さとびたる、簣子のはしつがたに居給へり

さしとむるむぐらやしげき東屋のあまりほどふる雨ぞゝきかな

巻の名は此の歌から来てゐる、破れ家の中に忍ぶ浮舟を薫大将の尋ねて来る場面が源氏絵としての好画題となつて居る。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)