年中行事

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ねんちゅうぎょうじ


画題

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解説

画題辞典

年中行事は正月より十二月末に至るまで四季折々の恒例行事をいふ、禁中年中行事、武家年中行事は主として節々の式礼をいひ、民間年中行事、或は江戸、京都、大阪等地方地方の年中行事は祭祀仏事より、春は梅、夏は納涼、秋は紅葉の遊覧遊山その折々の風習を称す、多く絵巻として図せらる、名家の筆それそれに多し。

古く年中行事絵巻として最も名高きものは、後白河天皇の勅を奉じて春日光長画き飛鳥井雅経詞書せしものにて六十巻あり、古く倭錦、或は本朝画図目録などにも記るされたる一つなり、禁中に伝はりしも安永の内裏炎上に焼亡せりとなり、住吉如慶の模写あり。

近世のものにては土佐光起又民間行事を写せるものに菱川師宣などの図あり。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

元旦から除夜に至る間其時々に慣例として行はるゝ儀式、これには毎年期日の定まつてゐるものと居ないものとがあり、一般に行はれてゐるものと、特殊の階級に限られたものとがある、禁中公家年中行事、武家年中行事、式礼が多く、民間年中行事は祭祀仏寺から、物見遊山四季の行楽が多い。江戸時代に於ける年中行概略左の通りである。      公家年中行事

正月 元旦、四方拝、節会、三日迄屠蘇白散御祝、二日以後摂家初参内、四日以後御幸始、五日大工釿始、千社万歳、六日年越(十四日同)八日以降(後七日御修法)大元帥法、十一日神宮奏事始、十五日左義長(十八日同)十六日踏歌節会、十七日舞御覧、鶴庖丁、十九日和歌御会始(或は廿四日)

二月 上申日、春日祭(十一月同)十五日涅槃会、彼岸中日、御鏡清、二十二日水無瀬宮御法楽

三月 三日鶏合、人形献上

四月 中酉日賀茂祭、十六日日光東照宮例幣使

五月 四日御所菖蒲葺、五日御祝、菖蒲御殿献上(菖蒲枕同)六日菖蒲湯

六月 朔日米餅献上、七日祇園会、十六日嘉祥(或嘉通)御祝、御袖留(月見)土用中日御めぐり献上、晦日名越祓

七月 七日七夕御祝、梶葉御手向、和歌御会、御遊、近衛家花扇献上。八日以後御目出度事(生見玉御祝)十四、五日灯籠献上、衆人灯籠拝見、十五日蓮御膳献上

八月 朔日田物(馮)御祝、小花粥、十五日観月御成、歌会、八幡放生会

九月 八日菊綿献上、九日御節供、菊着綿和歌御会、十一日神宮例幣、十三日名月御祝

十月 毎亥日御玄猪祝餅下賜、能勢餅献上

十一月 朔日近江国郁子献上、毎子日子祭

十二月 八日温糟粥供進、吉日煤払

     武家年中行事(徳川家の例に拠る)

正月 元日兎吸物及茶式、元日―三日年始祝儀諸侯以下登城、二日箒始、三日判始、謡始、六日遠国社寺参賀、七日若菜祝、京都伊勢日光名代参、十日具足祝、十一日紅葉山参詣、連歌、吹上弓場始

二月 十日初講釈、中丁日聖堂釈奠

三月 三日上巳祝儀諸侯以下登城、上旬蘭人参賀

四月 朔日賀茂社人葵献上、十三日参府諸侯へ遺使、十五日参覲諸家登城、十七日紅葉山参詣

五月 朔日日光門跡使端午祝賀、二日諸家祝賀時服献上、五日端午諸侯以下登城、十五日佐渡奉行参賀

六月 朔日氷餅分与、七日午頭天王祭、十六日山王祭礼、嘉祥祝、十七日紅葉山宝物風入、晦日土御門家名越祓献上

七月 四日日光門跡七夕祝賀、七日七夕祝賀諸候以下登城、十五日神田明神祭、下旬初菱喰禁中献上

十月 亥日玄猪祝儀、諸侯以下登城、下旬目黒駒場野鶉狩

十一月 朔日観世参礼、十五日古筆参礼、十七日碁将棋手合(将軍観覧)

十二月 二日諸士職人役者等賞与、同臨時賞与、十三日以降城内煤払、十六日諸侯以下官位沙汰、二十一日歳暮祝賀時服献上

     民間年中行事

正月 元日若水、恵方詣、宝舟、元日―三日屠蘇酒、祝雑煮、元日―十五日年礼、二日仕事始、角倉船乗始、愛宕寺天狗酒盛、亀戸天神連歌(江戸)三日北野裏白連歌、叡山元三大師忌、愛宕毘沙門天神事(江戸)四日飛鳥井難波両家鞠始、五日伏見稲荷注連張、浅草三社権現法楽流鏑馬(江戸)天王寺太子正身供(大阪)六日年越、門松を納む、芝明神詣(江戸)七日七草粥、箕尾竜安寺富、勝尾寺福突、住吉神社白馬神事、初寅鞍馬詣、毘沙門詣(江戸)、初卯賀茂卯杖神事、亀戸妙義詣、八日空也鉢敲出初、十一日町酙羹(京都各町年寄会合始)、金毘羅詣(江戸)、今宮夷詣(大阪)、常陸帯神事(常陸鹿島)、十三日祖師参(江戸)、十四日年越、注連を取払ふ、祇園粥杖神事、亀戸道祖神祭(江戸)、十五日上元祝、小豆粥、貴船粥杖神事、賀茂神社左義長、興福寺心経会、十六日閻魔参、日野裸踊、浅草報恩寺鯉料理(江戸)、十八日山崎宝寺鬼儺、十九日八幡疫神斎、二十日商家夷講、廿四日亀戸天満宮鷽替神事、本月中、春駒、万歳、鳥追、懸想文買(皆上旬)

二月 初午伏見稲荷福詣、二日百万遍数珠拝見、七日薪能(奈良十四日まで)九日千本釈迦堂遺教経、十五日涅槃会、嵯峨釈迦堂柱矩火、十六日五条御影堂踊念仏、四条河原座頭積塔、本所一ツ目弁天堂琵琶会(江戸)、彼岸仏寺、六阿弥陀詣、二十五日北野菜種神供、亀戸天満宮神事、本月中花見。

三月 三日雛遊、諸所粟島祭、四日奉公人出替、五日嵯峨釈迦堂大念仏(十五日まで)、十日今宮やすらひ神事、大師巡拝(廿一日まで)、十三日嵯峨法輪寺十三詣、十五日壬生大念仏狂言(七日間)、木母寺梅若大念仏(江戸)、十八日浅草三社権現祭(同)、二十一日東寺弘法大師影供、酉日諏訪神祭(信濃)、本月中汐干狩、千本閻魔堂大念仏、狂言(京都)、相撲(江戸)

四月 朔日貴船虎杖狩神事、八日灌仏会、筑摩祭(近江)、十四日当麻練供養(大和)、十七日日光社祭、中午日賀茂御蔭祭、中申日日吉山王祭、中酉日賀茂葵祭、廿四日大山祭(伯耆)、晦日今宮御輿洗、本月中兜市

五月 五日端午祝、賀茂競馬、藤森祭(京都)、十五日今宮祭(京都)、二十八日芝居曽我祭(江戸)、両国納涼(江戸八月下旬まで)、本月中蛍狩

六月 朔日かき餅及掛鯛を祝ふ、富士参、七日祇園祭(京都其他)、四条河原納涼(今夜より)、諸社天王祭(江戸祇園祭と同じ)、十五日日吉山三祭(江戸)、十八日祇園御輿洗(京都)、十九日本所一ツ目弁財天琵琶会(江戸)、廿日鞍馬竹伐、廿四日諸社千日参(四万六千日といふ)、晦日名越祓、吉原茶屋灯籠を出す(今夜より)、本月中諸寺虫干、蓮、朝顔見物等

七月 六日七夕送(京都)、七日節句、花扇使、飛鳥井難波両家蹴鞠(梶鞠といふ)、六角堂池坊花会(京都)、亀戸天満宮和歌連会(江戸)、十二日草市、十三日精霊祭(十六日まで)、黄檗山水灯会(宇治川灯籠流)、王子権現祭(江戸)、十四日禁中灯籠拝見(明日も)、各地踊(下旬に渉る)、十五日蓮飯刺鯖を喫す、生身玉の祝、十六日閻魔詣、廿一日島原灯籠飾(京都八月廿一日迄)、廿六日、廿六夜待(江戸)、本月中、月見、虫籠、秋草見物、吉原灯籠見物(江戸)

八月 朔日八朔祝賀、田実(馮)祝、十五日観月、十八日上下御霊祭(京都)、八幡祭(各地)、本月中、吉原にわか(江戸九月中旬まで)釈尊及彼岸(二月同)

九月 九日重陽祝、十一日芝神明祭(江戸廿一日まで)、十二日太秦牛祭、十三日月見、十五日神田明神祭(江戸)、廿一日白山権現、根津権現祭(江戸)、本月中茸狩(京都)、菊見(江戸巣鴨染井等)

十月 朔日炉開(茶会)上亥日玄猪祝、六日浄土宗法要(十五日まで)、八日法華宗寺院会式参詣、十日商家夷講(昨日より今日に渉る)、本月中、相撲(江戸)、芝居顔見世狂言(十二日迄江戸)

十一月 初子日子祭、十三日空也忌十五日宮詣、髪置、袴着、帯解祝(七五三の祝といふ)廿二日真宗寺院報恩講(廿八日まで)、廿三日一遍上人忌、酉日各地酉祭(酉町酉市)、本月中、雪見

十二月 朔日乙子朔日と唱へ餅を祝ふ、八日事納、十二日妙心寺開山忌、南禅寺大明忌、十三日煤払、十四日深川八幡歳市、十七、八日浅草寺歳市、廿四日芝愛宕歳市(下旬に亘る)、廿五日大師粥、廿二日―廿八日報恩講、下旬貴賎門松を立て餅を搗く、歳暮祝賀往来、年越(迫儺豆打は節分の日を用ふ)、大晦日祇園白尤詣     (大日本百科大辞典に拠る)

年中行事を画いたものとしては、冷泉為恭に『年中行事』十二幅対があり、田中訥言にも『公事十二ケ月』の作あり、絵巻の『年中行事絵巻』(次項年中行事絵巻参照)は最も有名であり、清涼殿には『年中行事障子』(其項参照)あり、其他その一項一項を画いたものは枚挙に遑もない。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)