川部酒麻呂

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かわべの さかまろ


画題

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解説

前賢故実

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肥前国松浦郡の人。天平勝宝四年、遣唐使第四船の舵取を勤めていた。帰国の途中、海上で非常に強い順風に吹かれて、船が矢のように進んでいた所、突如船尾から失火、一瞬の間に煙や火焔が勢いよく燃え広がり、人々が消火できず、呼び叫びながらどうしたらいいかわからない状態に陥った。この際、船首にいた酒麻呂は、急いで船尾へ行き舵を回して船首を風上に向けた。ただ、傍にまだ火が出ているので、酒麻呂に燃え移った。酒麻呂は衣服が燃え尽くされても舵を掴んだまま動かなかった。その結果ようやく火を消し止めた。この功績より酒麻呂は五位を授けられ、松浦郡員外主帳に任じられた。火災があった日、酒麻呂がいなかったら船に乗った人々および貨物は、何一つ残らなかっただろう。

(『前賢故実』)