小式部内侍

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こしきぶのないし


画題

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解説

(分類:物語)

前賢故実

小式部を見よ。

(『前賢故実』)

東洋画題綜覧

小式部は和泉式部の女で、大江山の歌で名を知られてゐる、定頼の中納言が歌は代作だらうと揶揄するのを、此の大江山の一首で定頼に舌を巻かせる、物語は『古今著聞集』巻五である、曰く

和泉式部、保昌が妻にて丹後に下りける程に、京に歌合ありけるに、小式部内侍歌よみにとられてよみけるを、定頼の中納言戯に、小式部の内侍に『丹後へつかはじける人は参りにたりや』といひ入れて局の前を過ぎられけるを、小式部内侍、御簾より半出でゝ、直衣の袖をひかへて

大江山いく野のみちはとほけれどまだふみも見ず天のはしだて

とよみかけけり、思はずにあさましくて『こはいかに』とばかりいひて、かへしにも及ばず、袖をひき放ちて逃げられにけり、小式部これより、歌よみの世におぼえいできにけり。

此の定頼の中納言と、小式部内侍を桜さく局の前に画いたもの、場面が美しいので、古来大和絵に時々見る、菊池容斎筆に『小式部大江山歌意』(藤田男爵家旧蔵)の作があり。又、岩佐又兵衛にも『小式部内侍』(平尾賛平氏蔵)がある。浮世絵にはなほ菱川師宣筆(重要美術品、三原繁吉氏蔵)がある。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)