宙乗り

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宙乗り 宙吊りともいう。俳優の体を宙に吊り上げ、舞台の上、または花道・客席の上を移行させて空中を飛行するさまを見せるケレン的な演出。フワフワとも俗称する。元禄(一六八八~一七〇四)ごろから行われてきたが、宝暦期(一七五一~六四)には、もと大阪の軽業師出身と伝えられる嵐和歌野という女方が江戸へ下り≪道成寺≫を軽業で演ずる≪三世道成寺≫などで大評判となった。江戸時代の機械は幼稚で、賽の子(舞台天井)に下駄と称する木製の台車から綱によって連尺を着こんだ俳優を吊り、下駄をミゾの上で運行して動かした。危険を伴うため改良を重ねて、現在ではワイヤーロープに鉄製の器具が用いられている。宙乗りを得意とした諸優には、二世尾上多見蔵、四世市川子団次、五世尾上菊五郎、初世市川右団次、六世尾上梅幸、初世・三世市川猿之助らがある。宙乗りを要する演目には、舞踊劇の雷、奴凧、羽衣をはじめ、骨寄の岩藤、戻橋、孫悟空、増補双級巴の五右衛門などがあげられる。また、義経千本桜の四の切の狐忠信に、宙乗りを用いる演出もある。