夕霧阿波鳴渡②

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総合

夕霧阿波の鳴渡 ‐あらすじ‐

正月の支度で忙しい新町の揚屋吉田屋に、勘当されて編み笠に紙子姿の伊左衛門が落ちぶれた姿でやってくる。亭主は暖かく迎え、座敷で夕霧を待つが、夕霧が阿波の侍の座敷に出ていると知ってすね、口舌となる。やがて仲直りし、阿波の客とは、伊左衛門と夕霧との間の子を騙して引き取らせた平岡左近の妻お雪であることが判明、お雪は夫の武士としての面目のため子どもを実子として養育させてほしいと頼む(上の巻)。

お雪は夕霧を乳母として雇うが、夕霧は駕籠舁きとなって送ってきた伊左衛門共々親子の情を包み隠せず嘆くので、事情に感づいていた左近も堪り兼ねて立腹し、二人の子源之介を追い出す(中の巻)。

扇屋に戻ったが余命幾許もない夕霧を間の山節の門付となった伊左衛門と源之介が訪ね、今生の別れを惜しむ。そこに伊左衛門の母妙順とお雪から夕霧の身請け金が届く(下の巻)。

〈出典:『日本古典文学大事典』平成10年6月10日 明治書院〉