合羽摺

提供: ArtWiki
ナビゲーションに移動 検索に移動

総合

Stencil printing


彩色の技法。

 着色したい部分を切抜いた型紙を使う技法で、それを合羽と呼び、柿渋や漆を塗って、水分をはじくようにしてある。着色したい部分に合せて絵の上に置き、刷毛や“たんぽ”でその切ぬた部分に色を塗り、合羽を取ると、切抜いた部分にだけ着色されているという仕組である。

 友禅染の型染めは、これと同じく型紙を用いているため、染めの技術から思いついたものとも言われ、主に京都や大阪で行なわれたものである。

 この技法の場合、刷毛で数回撫でつけるだけで均等に彩色できるように比較的水分を多く含んだ絵の具を使うため、型紙の際に絵の具の溜まりができ、乾いた後にはその部分の色が濃く残る。また、色を付けない部分が型紙の他の部分と切放された「孤島」ができてはいけないため、それをつなぐ「ブリッジ」が必要となり、その跡が残っていることも合羽摺りを見分ける目安とされる。

 延享3年(1746)刊の『明朝生動画園』が版本に於ける上限とされており、一枚ものでは、明和5年(1768)の作品が報告されている。また、宝暦後半(1760年頃)には、歌舞伎や浄瑠璃のプログラム絵本である「絵尽」の表紙や包み紙にも彩色がされていて、これも合羽摺によるものである。合羽摺は、その後、上方の安価な絵入本や一枚摺の浮世絵に頻繁に用いられていたらしいが、現在は、伝存する作品が少ない。