十羅刹女

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じゅうらせつにょ


画題

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解説

画題辞典

十羅刹女は法華経陀羅尼品に説く所のものにして、左の如し。藍婆、毗藍婆、曲歯、華歯、黒歯、多髪、無厭足、持瓔珞、皐諦、奪一切衆生精氣倭絵にては之を本朝の官女体に図し普賢十羅刹女と称し普賢菩薩の周囲に配して画くを普通とす。

藤原信実筆(益田男爵所蔵)、筆者不明鎌倉時代作(東京美術學校所蔵)、同(赤星鉄馬氏旧蔵)あり、国宝に指定されたるものに左の諸点あり。

攝津福祥寺所蔵、因幡当忍寺所蔵、遠州大福寺所蔵

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

十羅刹鬼女を略して十羅刹、或は十羅刹女といふ、羅刹は梵語、羅刹沙の略、食人鬼、速疾鬼士、可卑暴悪等と訳す、八部鬼聚の一つでその名は『法華経』陀羅尼品に出てゐる、一に藍婆(有結縛と訳さる)。二に毘藍婆(離縛と訳さる)、三に曲歯(施積ともいふ)、四に華歯(施華ともいふ)、五に黒歯(施黒ともいふ)、六に多髪(被髪ともいふ)、七に無厭足(無著ともいふ)、八に持瓔珞(持華ともいふ)、九に皐帝(何所ともいふ)、十に奪一切衆生精気(取一切精ともいふ)、これである、かゝる区別の存するは、その形体、及びその性質によるものである。  (仏教辞林)

倭絵では唐衣袿姿の官女体に画き、剣を右手に或は左手に水瓶を持ち、普賢菩薩の周囲に描き、或は又羅刹女として単独に画かれるものもある。

これが名作と称せられるもの及び、近代の作左の通り。

藤原信実筆  『普賢十羅刹女』  益田孝氏蔵

冷泉為恭筆  『同』       原富太郎氏蔵

筆者不明鎌倉時代         東京美術学校蔵

同                赤星鉄馬氏旧蔵

吉川霊華筆            籾山半三郎氏蔵

松岡映丘筆            鈴木新吉氏蔵

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)