十王

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じゅうおう


画題

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解説

画題辞典

仏教にて十王経より出でたるもの、秦廣王、初江王、宋帝王、五官王、閻魔王、変成王、泰山王、平等王、都市王、輸転王、是なり。仏説に、死して冥途に赴くものは七日毎に必ず十王の聴断を経と称す、図する所各王聴断の下に各鬼の勧懲に随ふ様を示す、各寺院共に此図各十幅を蔵して孟蘭盆会其他に之を掲げ、人に因果応報を戒むるの料となす。

京都大徳寺所蔵十王十幅(宋画)、京都二尊院所蔵十王十幅(筆不者明)、讚岐法然寺所蔵十王十幅(陸信忠筆)、京都浄福寺所蔵十王十幅(筆者不明)、東京帝室博物館所蔵十王十幅(鎌倉時代)、高橋男爵所蔵十三図(筆者不明、春日派)等は本図中にありて就中優品として聞えたるものなり。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

仏教に於ける十冥官で、亡者の冥府に入るや十王の庁を順次に過ぎてその裁断を受け、これに依つて来世の生処を定められるといふ、十王の名と、その司掌する地獄の名左の通り。

第一殿 秦広王、大海沃燋石外正西黄泉黒路に在つて人間を司る。

第二殿 楚江(初江)王、大海の底正南沃燋石下活大地獄を司る。

第三殿 宋帝王、大海の底東南沃燋石下黒縄大地獄を司る。

第四殿 五官王、大海の底正東沃燋石下合大地獄を司る。

第五殿 閻魔王、大海の底東北沃燋石下叫喚大地獄を司る。

第六殿 抃城(変成)王、大海の底西北沃燋石下大叫喚大地獄を司る。

第七殿 泰山(大山)王、大海の底西北沃燋石下熱悩大地獄を司る。

第八殿 都市王、大海の底正面沃燋石下大熱悩大地獄を司る。

第九殿 平等王、大海の底西南沃燋石下阿鼻大地獄を司る。

第十殿 転輪王、幽冥沃燋石外、正東に在て四大部洲を司る。

印度では初め閻魔王だけであるが、支那に入つて十王となり、それが鎌倉時代に禅宗と共に我国に入り、深く民間に浸染するに至つたといふ。十王を画いた名作左の通り。

陸信忠筆 (国宝)  讃岐法然寺蔵

筆者不明 (同)   備中日光寺蔵

同十幅  (同)   備前宝福寺蔵

伝陸信忠筆(同)   京都大徳寺蔵

伝金岡筆 (同)   同 二尊院蔵

筆者不明 (同)   大和能満院蔵

伝土佐光信筆     京都浄福寺蔵

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)