初音

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はつね


画題

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解説

画題辞典

源氏物語の一巻なり。明石入道の娘なる明石の上の姫君を源氏が方へ引き取り、紫の上の御子分となして寵愛あり、明石の上は我が子見玉ふことも叶はぬに恋しく思ひ、正月一日かの方へ文送る折、

 年月をまつにひかれてふる人に 今日鶯の初音聞かせよ

とありしとぞ。初音といふ是れが為めなり。

狩野晴川画く所の屏風讃岐法然寺にあり。国宝なり。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

源氏物語の一帖、光源氏三十七歳の正月のことを記す、明石の上の姫君は、紫の上の姫分として六条院に引取り寵愛してゐる、初春の行事もなにくれとなく調ふ、だが明石の上は我が子の姫も見ることかなはず、初春の文に托して歌一首を送る。

今日は子の日なりけり、実に千年の春をかけて祝はんにことわりなる日なり、姫君の御方に渡り給へれば、童下仕など御前の山の小松ひき遊ぶ、若き人々の心地ども置き所なく見ゆ、北のおとゞより、わざとがましくし集めたる鬚籠ども、桧破るなど奉れ給へり、えならぬ五葉の枝に、うつれる鴬も、思ふ心あらんかし

年月を松にひかれてふる人にけふうぐひすの初音きかせよ

音せぬさとのと聞え給へるを、実にあはれと思し知ることいみもえし給はぬ気色なり。

巻の名は此の歌から出てゐる。

讃岐の法然寺に狩野晴川院筆の屏風がある。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)