出世景清

提供: ArtWiki
ナビゲーションに移動 検索に移動

しゅっせかげきよ


総合

人形浄瑠璃

人形浄瑠璃。時代物。近松門左衛門作。大坂・竹本座初演。五段曲。

大筋は謡曲「大仏供養」、舞曲「景清」、古浄瑠璃「かげきよ」に拠るが、この年東大寺大仏修復の大勧進が開始された事件の当込みがある。また源平合戦の武将たちの五百回忌にも当たり、「八島」や「景清」の世界が選ばれた。


平家の落武者景清の頼朝への復讐(当面邪魔者の畠山重忠をつけ狙う)を縦筋に、閉塞状況の中で彼をかばう小野姫と、二人の子を儲けながら嫉妬の愛憎を利用した敵役兄十蔵の教唆で心ならずも裏切る阿古屋という、二人の対照的な女性の話を横筋として絡ませながら、入牢、阿古屋と二児の死、仏の身代わり、頼朝への降伏、瞋恚(しんい)の炎を自ら消すために目くりという悲愴感に溢れ変化に富んだ展開を見せる。名場面も多く、小野姫(熱田大宮司の娘で景清の妻)の責め場と阿古屋の人間的苦悩は後に《壇浦兜軍記》に〈阿古屋の琴責〉として趣を変えて現れ、〈景清牢破り〉の勇壮な場面も歌舞伎や浮世絵界に大きな影響を与えた。