仁和寺

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にんわじ


画題

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解説

東洋画題綜覧

京都名所の一、普通に『にんなじ』と呼ぶ、有名なる桜の名所であり、名刹として聞えてゐる。

御室仁和寺は真言密乗の霊地なり、はじめ光孝天皇の御願として、仁和四年八月にいとなみ給ふ、代々法親王の御法務にて、御門跡と称し給ふこと此寺にはじまりけるとかや、御室と号するは、宇多天皇御出家の後、延喜元年十二月に御室を此所に建させ給ふゆゑなり、又承平の御門も天暦六年御出家ありて此所にうつり給へり。金堂の本尊は阿弥陀仏、観音、勢至、脇士とし給ふ、観音院には千手観世音たゝせ給ふ、祖師堂は弘法大師自作の像、脇壇には寛平法皇の宸影を安ず、五重塔、九所明神、十二権現、経蔵、閼伽井、下乗の立石は藤木甲斐が筆とかや、夫当山は佳境にして、むかしより桜多し、山嶽近ければつねに嵐はげしく、枝葉もまれて樹高からず、屈曲ためたるが如し、弥生の御影向は猶更、花の盛には都鄙の貴賎春の錦を争ひ、幕引はへ、虞松が酒にふし、李白が恨は長縄を以て西飛の白日を繋ぐ事を得んとは、春色の風客花にめでて日ををしむと同じ論なり。  (都名所図会)

仁和寺を画いた作は多いが、近く左の作がある。

桜庭九霞筆  『仁和寺の夕』  第三回帝展出品

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)