五大力恋緘

提供: ArtWiki
移動: 案内検索

ごだいりきこいのふうじめ


総合


歌舞伎

元文二年七月に曾根崎で遊女にだまされ、公金を使った薩摩藩の武士が、五人を殺した事件に取材し、並木五瓶が書いたもの。寛政六年(1794)の初演。 <登場人物> 九州千島の家中・薩摩源五兵衛 千島の家中・笹野三五兵衛 千島の家中・出石宅右衛門 千島の若殿・千太郞 源五兵衛若党・八右衛門 三五兵衛中間・土手平 仲町の芸者・小万 小万の廻し男・弥助 深川大和町の家主・丸屋六右衛門 (重宝)竜虎の呼子

序幕・深川州崎升屋の場

源五兵衛は、本国薩摩で紛失した御家の重宝・竜虎の呼子を探している。 千太郞の「知恵づけ」と称して、深川州崎の料理茶屋に入浸る。 小万は、三五兵衛に口説かれるが、それを嫌い、源五兵衛と深い仲であると嘘をつく。 小万の意図を汲み、源五兵衛は、表向きは恋人を演じることを承諾。 三五兵衛に親密ぶりをみせつける。 この恥辱に三五兵衛は弥助を仲間に引込み、源五兵衛の追い落としを謀る。 千太郞の勘気を受けて、満座の中で打擲され、謹慎を命じられた源五兵衛に、小万は真実惚れることになり、指を切って誠を誓う。 小万の心意気に源五兵衛も嘘から出た真で、二人は結ばれる。

二幕目・大和町貸座敷の場

謹慎中の源五兵衛は、丸屋六右衛門のもとに身を寄せている。その借宅に宅右衛門が訪れ、一両二分をなにかの足しにと置いていく。 座敷から抜け出た小万に、源五兵衛は三五兵衛こそ竜虎の呼子を盗んだ下手人と目をつけるが、証拠がないので、小万の手管で三五兵衛から証拠を聞出してほしいと頼む。 小万は、三味線の裏へ「五大力」と書く。「芸者の魂は三味線の封じ目、堅い心の誓いの五大力」と小万は秘密を口外しないことを誓う。

三幕目・仲町花屋の場

小万のもとに、国元から源五兵衛の兄と役人が尋ねて来る。 役人を二階に上げて二人きりになった兄は、先日の源五兵衛の不首尾に父も主君も激怒しており、役人は捕手、国元に帰り許嫁と祝言すれば勘気も解けるという。 そこに三五兵衛があらわれ、小万は二人の面前で切文を書く。 実は、源五兵衛の兄というのは源五兵衛の若党八右衛門、捕手は土手平であり、八右衛門は主を案じて国元から駆けつけた処を、三五兵衛に騙されたのであった。 小万は三五兵衛に色仕掛で呼子の在処を聞き出そうとする。三五兵衛は三味線の「五大力」を、小万の手を持ち添えて「三」「五大切」と書き加える。 弥助に切文を見せられて座敷へやって来た源五兵衛は、弥助が煽っても泰然として動じなかったが、三五兵衛の小万と枕を交わしたという言葉、さらに「三五大切」の文字に愕然となり「人ではないわえ」と言捨てて去る。

三幕目・五人斬りの場

あとに小万は一人書置きの文を書いている。忍んできた源五兵衛は小万を無言で刺殺、三五兵衛を求めて土手平・花屋亭主伊之助・賤ヶ谷伴右衛門・仲居おきちを次々と斬り殺すが、三五兵衛は難を逃れる。小万の首を前垂れに包んだ源五兵衛は、雨降る中、傘をさして謡を謡いつつ悠然と去る。

四幕目・大和町貸し座敷の場

大和町の貸座敷に戻った源五兵衛は、炬燵の上に小万の首を置き、ムッと首を睨み付けて煙草を飲んでいる。 そこに八右衛門らが駆けつけ、三五兵衛の企みが判明。小万の書置きを読んだ源五兵衛は三五兵衛の後を追う。

四幕目・中木場の場

三五兵衛に追付いた源五兵衛は、弥助も加えて三人の泥まみれの格闘の末三五兵衛を仕留め、竜虎の呼子を手に入れる。