『小袖曽我』

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五郎が勘当中の身なので、伯母に衣装を乞うたりした後、兄弟は曽我に戻り、母親に勘当を許してもらうため母のもとへ行く。十郎が母を説得するのである。この後兄弟は、今着ている小袖は富士の裾野の狩庭に行くのには見苦しげなのでと、母に白の唐綾の小袖をそれぞれ母から借り受ける。これは、やがて二人の形見の品となるのであるが、むろん母は知るよしもない。貸した小袖は曽我殿のものであるから、狩庭から戻ったら返しなさい、と語る母の姿が哀れである。この十郎による母の説得と小袖乞いのエピソードは、中世でも広く知られていたものらしく、能「小袖曽我」・幸若舞「小袖乞」の素材にもなっている。


〈参考文献〉

『曽我物語の史実と虚構』 坂井孝一 吉川弘文間 平成十二年十二月