「長門本」

提供: ArtWiki
ナビゲーションに移動 検索に移動

総合

二十巻。長門国赤間関(下関市)の阿弥陀寺に所蔵されている本が有名であったため、長門本、赤間本、阿弥陀寺本などと呼ばれた。内容は延慶本に近似しており、延慶本と長門本で記事が共通する部分を「旧廷慶本」とみる向きもある。ただし、延慶本と肩を並べるような兄弟関係ではなく、長門本のほうが、かなり時代的に下り、書承・編集の紆余曲折を経ているとされている。内容・表現の点において、室町物語と共通する要素のあることが指摘される一方で、延慶本よりも古態を残す部分があるとされる。超自然的・神秘的な話材を多く取り込み、取り込んだ故事などを空間的・時間的に位置づけようとする意識が希薄である。版本はないが、江戸期には写本としてよく流布し、延慶本よりも長門本のほうが読まれていた。