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おきな Okina


能狂言

「翁」の謡と千歳之舞・翁之舞・三番叟から構成される曲である。ストーリー性はなく、「天下泰平国土安穏」などの祝言的な詞章と、祝言性の強い舞とから成っており、神聖な印象が大切にされ、厳かに演じられる。その能楽の中での位置付けが特別であることから、「翁は能にして能にあらず」とも言われる。

「翁(式三番)」が演じられる機会

現在では、正月の最初の催しや、舞台開きなどに上演されることが多く、他の催しではあまり演じられない。しかし、当初はすべての能楽の催しの筆頭に演じられるものであった。また「翁」の謡だけを素謡で演じる場合があり、それを特に神歌と呼ぶ。

「翁」(式三番)の歴史

「翁」は、古くは翁猿楽または三番猿楽などとも呼ばれ、猿楽座はこの翁猿楽を上演するために作られた組織であった。 ここでは、「翁」と能とはその源を異にする芸能であると見る説を採り、それはつまり猿楽座の所属者と能を演じる集団(演能グループ)の所属者とが、本来的に別物であったということを意味している。猿楽座と演能グループは、遅くも能の大成期以前には結合して、同じ舞台で演じられるようになり、両者を合わせて猿楽座と呼ぶようになったと考えられる。

猿楽座と演能グループが結合した後も、「翁」と能を演じる役者には厳然たる区別があったが、能の大成者の一人である観阿弥が、当時の将軍足利義満の指示によってその旧例を破り、演能グループの所属者(能役者)として、はじめて「翁」を演じた。これ以後、能役者が漸次「翁」を上演するようになっていき、「翁」専門の芸能者は次第に廃れていって、特定の地域の祭の際にのみ、細々と「翁」を演じるだけとなった。