翡翠について

『日本国語大辞典』

 カワセミ科の鳥。全長約一七センチメートルで、スズメよりやや大きい。雌雄ともに頭部は暗緑色、背面は美しい空色で腹面は橙色。くちばしは太く、長さは約四センチメートルにもなる。尾は短く、あしは赤い。水辺にすみ、川魚、カエル、昆虫などを食べ、土手やがけに横穴を掘って営巣する。日本全土にみられる留鳥。ひすい。かわせび。しょうびん。そにどり。そに。学名はAlcedo atthis 《季・夏》 。

『日本の歳時記』

雀ほどの大きさで、鮮やかな水色をした鳥である。大きな頭、嘴くちばしは黒くて長く、首、尾、脚は短い。水辺に生息し、採さい餌じの時は、鋭く直線的な鳴声とともに水中に飛び込み、魚類や水生昆虫を捕らえる。夏の季語。

『東洋画題綜覧』金井紫雲

 翡翠は一名『せうびん』といふ、翡翠といふのはその羽毛の色彩から附けられた、古名は『そび』で『せうびん』はその転訛といふ、渓流沼池に臨んだ樹上に棲み、静かに水中の餌物を探り、或は水流に沿うて一直線に飛翔するの状は屡々目撃せらるゝ所である、羽極めて色鮮麗にして、頭部は暗緑色の上に細かい鮮緑色の斑点があり、其以下の背面は尾まで美しい空青色を呈し、肩、雨覆は暗緑色、風切羽は褐色にして青く縁取られ、顔は眼先及耳羽栗色で後方に白斑あり、頬は頭と同色、下面は鰓以下喉白くそれから下は凡て栗色、上嘴は黒く基部と下嘴は黄色、脚は鮮紅色である。(日本動物図鑑)

これと同じ種類に『あかせうびん』及び『やませみ』がある。『あかせうびん』は古歌に所謂『みづこひ鳥』であり、『やまぜみ』には『かのこせうびん』の異名があり、共によく知られてゐる。

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