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インクの滲み止め

                    今日の私。


ベオグラード国立美術館から、浮世絵のクリーニングを依頼されました。
クリーニング自体は、業者の方と相談してそちらにお願いすることになったのですが、
問題は、水で洗浄すると、浮世絵の端っこに水性ペンで書かれた整理番号が滲むこと。
そこで、別の業者さんに何か滲み止めができるものはないか尋ねると、
シクロドデカンという薬品を教えていただきました。
   気になる点をテストして、これを使うことに決めました。

今日は業者さんの御指導のもと、その滲み止めの処置をしたのです。
吸入すると危険なので、防毒マスクを着用します。それが上の写真です…。

 約60度以上で融解させ、水性ペンの部分に塗布します。

 すぐに乾いて固化します。

ロウでコーティングしたような感じです。
この部分だけ固定され、耐水できるのです。
その代わりこの部分だけはクリーニングできないので、まわりとの色の差が出るでしょう。
(水洗浄が終わった後、乾燥させて、薬品を昇華させます。)

資料への影響は全く無いとは言えませんが、今のところ大変有効な処置です!
便利な薬品がまだまだたくさんあるのでしょうね。

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