Reports on “Digital Humanities Center for Japanese Arts and Cultures” Center Grants for Young Researchers to Support Their Research Activities


Takuji Hanada

Kinugasa Research Organization, Ritsumeikan University Research AssistantⅡ

Research activities: Overview and implications:  2009年10月に若手研究者助成の申請を提出し、執行許可を得て、以下の書籍を購入した。
①小林一岳『日本中世の一揆と戦争』(校倉書房 9,450円)
②清水克行『室町社会の騒擾と秩序』(吉川弘文館 8,505円)
③川岡勉『山名宗全』(吉川弘文館 1,701円)
④小秋元段『太平記・梅松論の研究』(汲古書院11,340円)
 いずれも、中世の戦争や社会状況、軍記物語に関して、各著者の近年の研究成果をまとめたものであり、申請者の研究を遂行する上でも使用頻度の高い研究書である。今回、助成金の交付によって、論文の執筆や博士論文へ向けた先行研究の整理の際、常に参照できるようになり、研究上の利便性が向上した。

Progress and effects in your overall research plan and objectives:  申請者は、南北朝期室町幕府の軍事体制、および守護制度を主たる研究テーマとしているが、グローバルCOEのサブ・プロジェクト「平安貴族の行動と見聞―古典史料アーカイブ利用の試み―」で行っているGISを利用した歴史学研究に示唆を受け、中世の京都合戦についてGISによる可視化・分析を試みている。
 南北朝期の京都合戦については以前成果を公表しており、現在は室町期の応仁・文明の乱について同様の検討を進めている。上記②・③の書籍は、室町期の社会状況および応仁・文明の乱の立役者である山名宗全に関する最新の研究成果であり、現在すすめている応仁・文明の乱の研究にあたって参照するとことが多い。また、①は「戦争の時代」たる南北朝期の地域社会についての論考が中心で、同書を踏まえて南北朝期の京都合戦について、より全国的な視野から捕らえることが可能となると考えている。④は、国文学からの書誌学的なアプローチであり、『太平記』・『梅松論』を歴史学の「史料」として用いる際に活用している。
 なお、上記①~④の書籍は、単に南北朝~室町期の京都合戦を研究する上で必要なだけではなく、室町幕府の軍事体制や守護制度を研究する上でも重要な指摘が多いため、2010年3月に提出する博士論文の執筆に際しても、多用している点を付け加えておく。

Advisor: Takao Sugihashi / Ritsumeikan University